リコー「CX」シリーズもこのCX5でついに5代目。撮像素子やレンズのスペックは前モデル「CX4」と同等だが、10.7倍という使い勝手のいいレンズ倍率、そしてコンパクトなサイズ(101.5×58.6×29.4ミリ、約197グラム)で扱いやすさは変わらない。
撮像素子は有効画素数1000万画素の1/2.3型裏面照射型CMOSセンサーで、これに画像処理エンジン「Smooth Imaging Engine IV」を組み合わせる。レンズは35ミリ判換算28〜300ミリの光学10.7倍ズームレンズ。F値はF3.5〜F5.6、最短撮影距離はマクロ時で広角端約1センチ、望遠端約28センチとマクロに強いという特徴も継承されている。
前モデルとの最大の違いは、パッシブ式のAFセンサーを搭載した点。専用センサーを別途用意しており、それで得られた距離情報を使ってまずはレンズをピント位置に近づけ、その後従来通りの撮像素子を使ったコントラストAFで最終的なピント合わせを行う。常に被写体との距離を測定しているためにAF速度の高速化が期待できる構造で、合焦時間は最大で既存製品比1/2まで短縮できるという。リコーではこれをハイブリッドAFシステムと呼称しており、最短で0.2秒まで短縮できているそうだ。
実際に試してみると、カメラを被写体に向けるとAFがわずかに動きだし、その後シャッターボタンを半押しするとピントが合う。通常のコントラストAFに比べてスッとピントが合う感覚で、確かに高速化の恩恵を感じられる。遠くの被写体を撮影してから近くの被写体を撮影するような場合でも、コントラストAFよりも高速なピント合わせができるようだ。
特に広角からズームの中程までは高速に感じた。ただ、望遠端になると、被写体によってはカメラを向けた段階でのピント合わせが行われず、一般的なコンパクトデジカメと同様の合焦時間が必要になる場合もあった。AFセンサーはカメラを被写体に向けて1テンポおいてから動作するようなので、望遠側ではあらかじめ被写体にカメラを向けておくと、動作の高速化が維持できる。また、マクロ撮影時はシャッターボタン半押しでの、コントラスト差を走査する動きが大きく、あまり恩恵を感じられなかった。
ちなみにリコーは「Caplio R5」や初代「GR DIGITAL」では外光パッシブAFセンサーを採用していたが、その後のモデルでは廃止されている。そのためAFセンサーの搭載は新機軸というより復活なのだが、シーンによってはかなりAFが早くなるので、歓迎したい動きだ。
被写体追尾AF機能も搭載しており、まずは中央固定AFの状態でシャッターボタンを半押しすると、そこにあった被写体にピント合わせを行い、あとはその被写体を追尾し続けてくれる。追尾精度は良く、歩行程度のスピードなら追尾し続けられるようだ。移動する被写体だけでなく、AFを合わせてから構図を変更したい場合でも、そのまま被写体にAFを合わせ続けてくれるので、ピント合わせをやり直す必要がない。なお、被写体を追尾するにはシャッターボタンを半押しし続ける必要があり、AFが追尾する間はレンズのモーターがジジッと鳴り続ける。
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