カード型デジカメの高倍率化は昨年秋ぐらいより顕著となり、既に10倍を超える機種も珍しくなくなっているが、3月18日に販売が開始されるニコン「COOLPIX S9100」は35ミリ換算25〜450ミリ相当の18倍という強烈なズーム倍率が特徴だ。
COOLPIXのメインシリーズである「COOLPIX S」では、2010年春モデルの「COOLPIX S8000」で光学10倍ズーム(35ミリ換算30〜300ミリ相当)、秋モデルの「COOLPIX S8100」で裏面照射型CMOSセンサー搭載と強化されてきた。これらの上位モデルとして投入される9000番台のCOOLPIX S9100ではセンサー自体はS8100とほぼ同スペックながら、レンズ倍率を18倍(35ミリ換算25〜450ミリ相当)まで高めてきた。
まずは広角端と望遠端でどれほどの画角に差が出るか、下を見て欲しい。左は25ミリ相当の広角端、右は450ミリ相当の望遠端だ。デジタルズームも用意されており、併用時には1800ミリ相当まで望遠範囲を拡大できるが、さすがに絵が荒れる。
4センチまで寄れるマクロモードも備えるが、オートマクロはなく、マクロ撮影時には背面キー下を押してマクロモードに切り替えてやる必要がある。マクロモードに入らなければ、最短撮影距離は広角端でレンズ前約50センチ、望遠端で約1.5メートル。料理やテーブルフラワーを撮りたいときにはマクロモードに切り替えることを忘れずに。
サイズは約104.8(幅)×62(高さ)×34.6(奥行き)ミリ。カード型というにはやや大ぶりであるし、望遠端を利用する際にかなりレンズは飛び出すが、未使用時にはとても18倍ズームレンズを搭載しているとは思えないサイズに収まる。ただ、このサイズとややゴツゴツとした男性的なデザインならば、ストラップホールは両づりタイプのほうがしっくりくるようには思える。
背面には3型92万画素と高精細な液晶と十字キー兼用のロータリーマルチセレクター、録画ボタン、再生ボタン、MENUボタン、削除ボタンと一般的な構成。録画ボタンの左には滑り止めのモールドも用意されており、撮影時のグリップ感は悪くない。ストロボはポップアップ式なのだが、電源連動や撮影モード連動ではなく、側面のスライドスイッチを操作してやる必要がある。
直線的ないかにもカメラらしいデザインを採用するが、基本的には設定の多くをカメラに任せるフルオート指向の製品といえる。その最たる部分がモードダイヤル。モードダイヤルに割り振られている撮影モードは、オート/スペシャルエフェクト/連写、それに5つのシーンモードで、絞り優先やシャッタースピード優先は存在しない。
モードダイヤルのシーンモードには、いわゆる自動認識&自動設定の「おまかせシーン」とさらに15のシーンをメニューから選択する「SCENE」、それに高速連写と重ね合わせを利用する「夜景」「夜景ポートレート」「逆光」が用意されている。高速連写系の撮影機能をモードダイヤルに入れるのはさほど珍しくないが、マニュアル系の撮影モードを一切入れていないあたりに本製品のスタンスが表れていると言える。
前述したよう、基本的にはフルオート指向の強い製品だが、ホワイトバランス/測光方式(マルチパターンもしくは中央部重点)/AFエリア(顔優先、オート、画面内の99点から任意点を選択するマニュアル、中央固定、追尾)、AFモード(半押し時のみピントを合わせるシングルAF、常にAFをあわせ続ける常時AF)の設定を施すことも可能だ。
モードダイヤルがオートないし連写の際には、明るさ(露出)、鮮やかさ(彩度)、色合い(ホワイトバランス)をロータリーマルチセレクター右押しにて起動する「クリエイティブスライダー」で調整可能。そのほかの撮影モードの際には、露出補正のみが可能となっている。いずれにしても利用者が設定できる範囲は限られているので、撮影時の操作に際して迷うことはほぼない。これ以上の詳細設定を施して撮影したい(という知識やスキルを持っている)人には「COOLPIX P300」など、“Performance”ラインのCOOLPIX Pシリーズをどうぞということなのだろう。
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