これまで紹介したよう、単焦点レンズは焦点距離に応じて撮影スタイルを見つけるという試行錯誤が面白いところです(今日から始める単焦点レンズ(1)――「写真力」を高める単焦点レンズ) (今日から始める単焦点レンズ(2)――お散歩写真を上手に撮るコツ)。
「広い範囲を写したいから広角レンズ」――この選択は間違ってないのですが、レンズ交換をせずとも、後ろに下がって撮影すれば解決する問題でもあります。このようにちょっとした行動で解決する事柄でもあるため、レンズ選びは焦点距離別の個性を把握し、レンズの個性が出るよう効果的に行いたいものです。
焦点距離以外にも、単焦点レンズにはさまざまな個性を持ったレンズが存在します。接写撮影の性能を追求したマクロレンズ、魚眼レンズ(フィッシュアイレンズ)、アオリやピント位置をコントロールできるティルトシフトレンズ、ボケの輪郭を柔らかく描写するSTF(スムース・トランスファー・フォーカス)レンズ、そして超広角単焦点レンズや超望遠レンズがあります。
今回は、個性のあるの単焦点レンズの中でも、比較的購入しやすい価格帯から3本のレンズをチョイスしてみました。
まずは、単焦点レンズならではのコンパクトさが魅力のペンタックス「DA21mmF3.2AL Limited」。パンケーキレンズと呼ばれる薄型のレンズです。ペンタックスの交換レンズには薄型のパンケーキレンズが多くあり、単焦点レンズを楽しむ上でペンタックスのカメラは魅力的なプラットフォームです。
次は単焦点レンズならではのボケを生かした撮影が楽しめるニコン「AF-S NIKKOR 50mm f/1.4G」。これは以前も取り上げましたが、適度な焦点距離でボケを生かした撮影ができる筆者お勧めのレンズです。
そして特殊レンズとして、ソフトフォーカス効果を得られるキヤノン「EF135mm F2.8(ソフトフォーカス機構付き)」を用意しました。このレンズは、本来ならレンズで補正する球面収差と呼ばれる白くモヤがかかって見える現象を、撮影者がコントロールできる「ソフトフォーカス機構」を内蔵したレンズです。
ペンタックスの「DA 21mm F3.2AL Limited」は、APS-Cサイズセンサーを搭載したカメラに装着した際、35ミリ換算約32ミリ相当となるレンズです。このレンズの特徴は、なんといっても厚さ25ミリという薄さです。レンズの特徴を薄さで表現すること自体が珍しいのですが、単焦点レンズにはこの様な薄型レンズが存在し、それらを形状から「パンケーキレンズ」と呼ぶことがあります。
このDA21mmF3.2AL Limitedは光学設計の最適化という手法でこの薄さを実現しており、ただ薄いだけではなく、画質にもこだわったレンズといえます。ちなみに、同社にはこれぞパンケーキレンズと言うべき、さらに薄い厚さ15ミリの「DA40mmF2.8 Limited」もあります。
前回紹介した、パナソニックの「LUMIX G 20mm/F1.7 ASPH」(マイクロフォーサーズ機への装着時には35ミリ換算40ミリとなる)よりやや広角寄りのレンズですので、こちらの方が使いやすいと感じる方もいるかもしれません。
街角で赤いボディが目に飛び込んできたカプセルトイ、いわゆる「ガチャガチャ」。ちょっと気になったこれを撮影してみました。
距離やアングルを調整しつつ、必要な物、不要な物を考えながら撮影します。最初は漠然と動きながら撮影していますが、5枚目の写真のように緑が写り込まないポジションへ移動するなど、どのように動けばいいか分かるようになってきます。
最終的には当初の「赤が気になった」というキッカケと離れた写真となりましたが、撮影ポイントを変えてファインダーをのぞくと想像していなかった視点に出会うことがあります。この発見はDA21mmF3.2AL Limitdを通して見たからこそ得られたのであって、ほかのレンズでは気付かなかったかも知れません。
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