露出系のコントロールは2つのダイヤルでほぼ快適にこなせる。
ISO感度はISO25600まで。下限はISO200。下限がISO200というのはちと残念。せっかくF1.4や1.8のレンズをつけて開放絞りでほわっと撮りたいと思っても、ISO200では晴れた日だと露出オーバーになってしまうのだ。無理にISO感度を落とすとダイナミックレンジが狭くなるなどの弊害もあるけど、オプションでいいからISO100まで欲しかった。
ISOオートは設定した上限次第。焦点距離に応じてシャッタースピードが決定し、それで撮れるよう、ISO感度がどんどん上がる。多くのカメラが暗くなってもISO感度を上げたがらずシャッタースピードを抑えめにしてくるのに比べると潔い。
シャッタースピードはかなり速めに維持してくれるので、もうちょっとISO感度を抑えるAEにしてほしいと思う人もいるかも。次の例でも26ミリ(52ミリ相当)で1/80秒という速度を維持してくれた(その分ISO感度がめいっぱいあがってる)。
ISO感度をそこまで上げたくない時は、自分でシャッタースピードを落とすとかISO感度を手動でセットすればいいだけ。で、実際にISO25600まで自動で上がるのはどんな時なのか。例えばこんなシーンであっても、ISOオートで手ブレも気にせず撮れちゃうのである。
地下鉄のホームからトンネルを撮ってみた。ISO25600でこれだけ撮れます。さすがにざらついてるしシャドウ部も浮き気味だが、なんというか、ノイズ低減処理が上手い。ディテールをつぶしすぎてない。M.ZUIKO 12-50mm 26mm 1/80秒 F5.2 ISO25600もちろん絵はかなり荒れるが、ISO25600でこれだけ撮れれば十分だろう。高感度の作例をもう1枚。これは猫が動いてもいいようにシャッタースピードを速めにセットしたときのカット。ISO6400でこれだけ撮れる。
等倍で見るとディテールはけっこうつぶれてるが、ノイズ低減処理が上手いせいか、違和感はあまりなく、実によく撮れてる。これはいい。
OM-Dに新しく追加された機能にハイライト・シャドウコントロールがある。ボタンを押してからダイヤルを回すという操作が必要で、とっさにという訳にはいかないが、結構、細かいコントロールが可能だ。それぞれ±7段階のコントロールができる。
全体にコントラストが低くなるのは当たり前だが、過度な効き具合とはならないので、結構、使えそうだ。ハイライト・シャドウコントロールのパラメータを3つぐらい記録できて、それをいつでも呼び出せるようにしてくれるともっとありがたかったかも。
やっぱオリンパスのカメラでアートフィルタは欠かせないでしょってことで、最後はこれ。新しく追加されたのは「リーニュクレール」。イラスト調にしてくれるもの。こんな感じ。
イラスト調のべた塗りに加えて、ピントがあってるところには黒い縁取りがつく。その案配が絶妙で、うまくいくとかなりいい感じの絵を作ってくれるのだ。M.ZUIKO 12-50mm 50mm 1/250秒 F10 ISO200 +0.3デジタルフィルタをかけて加工した絵を作ってくれる機能って各社が搭載してきてるけど、こういうのってセンスなんだよね。単にエフェクトをかけるだけでは写真じゃなくて、下手なCGみたいになっちゃう。どんな効果をどうかけるかがキモで、ドラマチックトーンといいリーニュクレールといい、オリンパスはそこが上手だと思う。
で、OM-Dで一番面白く遊んでるのがアートフィルタブラケット。
E-P3でもブラケット機能の中にこれが入っていたけれど、OM-Dではアートフィルタモードにも用意された。OM-Dのブラケットって呼び出しづらい(モニタのメニューから呼び出す必要がある)し、ブラケットってアートフィルタ以外で使うことが多いので、こういうお遊び的な機能はアートフィルタモードにいてくれた方がいいのだ。
アートフィルタブラケットはアートフィルタのみならず各ピクチャーモードも対象になるので、ピクチャーモードによって写りがどう変わるかをチェックするのにもいい。オンオフは自由なので、(ひとつひとつオンオフを切り替えていくのはめんどくさいけど)気に入ったのだけをオンにしてみるべし。
ノーマルな写真(ピクチャーモードは「natural」)とアートフィルタ群から8つ選んでブラケットしてみた。こんな感じ。
面白いけどやりすぎるとあとで同じ構図のカットがずらっと並んでサムネイルがわけわかんなくなるとか、バッテリを消耗するとかあるけど、面白い。ちなみにアートフィルタブラケットで10枚くらいまとめて撮っても、デジタル加工の処理はバックグラウンドでやってくれるので、すぐに次のカットを撮れる。
そんなわけで、OM-D、かなりよくできてます。けっこういいカメラです。
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