オリンパス「M.ZUIKO DIGITAL ED 12mm F2.0」は、マイクロフォーサーズシステムに準拠した単焦点のワイドレンズです。35ミリ換算の画角は24ミリ相当。広がりのある構図で風景をとらえたり、対象物に一歩踏み込んだ距離感でスナップを撮るのに最適な画角といえます。
このレンズのいちばんの特長は、全長43ミリ、質量130グラムという小型軽量でありながら、開放値F2.0の明るさを実現していること。室内や夜間などの薄暗いシーンでも、その場の自然光を生かしつつ、感度をあまり高めることなく撮影できます。

外装は、鏡胴部からマウント部までのすべてが金属素材。硬質でひんやりとした触感があり、軽量レンズにもかかわらず、モノとしての存在感が漂う高品位な作りになっています。右は「OLYMPUS OM-D E-M5」に装着した状態操作面では「スナップショットフォーカス」と呼ばれる機構がユニークです。これはフォーカスリングを手前に引き出すと距離目盛りが現れ、マニュアルフォーカスが可能になる仕掛け。ピントを固定して、パンフォーカスでスナップを撮る際などに役立ちます。適度なトルクのあるフォーカスリングの感触は良好。ほぼ無音でスピーディに作動するAFについても快適です。
最短の撮影距離は20センチで、最大撮影倍率は0.08倍。特に接写に強いというほどではありませんが、近接撮影での写りは絶品。合焦部分はきっちりと解像し、そこから前後に向かってスムーズなボケが徐々に生じていきます。奥行きを感じる立体的な描写であり、ソフトでしっとりとした風合いが漂っています。下の1枚目は大船植物園のラナンキュラス。2枚目は多摩動物公園昆虫園のオオゴマダラ。どちらも開放値を選び、最短撮影距離付近で撮影したものです。
非常にコンパクトなので、ズームレンズに追加してカバンに入れても大きな負担にはなりません。以下は、西伊豆で撮影した旅のスナップショットです。あいにくの曇天でしたが、だからこそ暗いズームレンズではなく、明るい本レンズが活躍しました。動植物の接写から、町並みや自然、夜景、室内スナップまで幅広いシーンに役立つレンズといえます。
デジタル一眼レンズの楽しみ:第5回 望遠ズームで朝日や夕日のシルエットを狙う――キヤノン「EF70-300mm F4-5.6L IS USM」
デジタル一眼レンズの楽しみ:第4回 夜景とボケを楽しめる明るい単焦点レンズ――ソニー「Sonnar T* E 24mm F1.8 ZA」
デジタル一眼レンズの楽しみ:第3回 1本で2度おいしい魚眼ズーム――キヤノン「EF8-15mm F4L フィッシュアイ USM」
デジタル一眼レンズの楽しみ:第2回 ライカ印のコンパクトマクロ――パナソニック「LEICA DG MACRO-ELMARIT 45mm/F2.8 ASPH./MEGA O.I.S.」
デジタル一眼レンズの楽しみ:第1回 風景をまるごと写す超広角ズーム――シグマ「8-16mm F4.5-5.6 DC HSM」Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR