春の行楽は動物園である(断言)。
あれは大人が行っても楽しい。いろんな動物をちょっとずつ見るのもいいけど、広い運動場で戯れてるヤツをぼーっと眺めてる……いや、撮るのも楽しい。
今回はミラーレス一眼を持って動物園で動物を撮影してみた。どんなレンズを持って行くと楽しいか、どんなところに気をつければ失敗しないか、決定的瞬間を撮れるか。そんなお話。
今回出かけたのは、東京・吉祥寺にある井の頭自然文化園。象を除くと大物(ライオンとかトラとか)はいないけど、適度にこじんまりとしてて、ものすごく間近で小動物も楽しめて、気軽に子連れで行くにはよいとこである。
ただ動物と同行者を撮るだけなら、高倍率ズーム(28〜300ミリ相当クラスのもの)が1本あればいい。それが一番簡単。多くの動物もそれなりに撮れる。余裕があれば、中望遠(75〜100ミリ相当くらい)の明るい単焦点レンズがあるとなおいい。近距離で撮れる動物がいたとき、その力を発揮するのだ。
次の2枚はF1.8の単焦点レンズと、望遠側がF6.3になる標準ズームレンズで撮り比べたものである。どちらも絞り開放。カメラはマイクロフォーサーズ。
背景のボケ方が全然違う。明るいレンズのメリットは背景がボケやすい分、メインの被写体が目立つことと、シャッタースピードを稼げること。
F1.8の方は1/2000秒だが、F6.3の方は1/160秒。動き回る動物を撮るときはできるだけシャッタースピードを上げたいからね。中望遠(標準ズームレンズの望遠側くらい)だと、ちょうどオリ越しの動物を撮るのにちょうどいい。オリがあると比較的近い距離から撮れる。このときもレンズの明るさが重要なのだ。
近くにいたカピバラを、あえてフェンスが邪魔になるように撮ってみた。
明らかにフェンスが邪魔である。でもこれをF1.8の明るいレンズの絞り開放で撮るとどうなるか。
こうなります。フェンスが大きくボケて目立たなくなる。レンズが明るいと背景がよくぼける……ってことは前景もボケるわけで、当たり前といえば当たり前。
逆にいえば、ピントの合う範囲が狭いので確実にピントを合わせたいとこに合わせないとだめ。このくらい近い距離になると、ピントを目元に合わせるか鼻に合わせるかで結果が違っちゃうから。
と、しれっと書いておりますが、実は、こういうシーン、高い確率でこうなっちゃうのである。
F1.8だから一目瞭然でいいけど、これがF6とか8とかになると液晶モニタだと一見ピントがあってるんだけど、帰宅してからじっくり見たらちょっとズレてた……もあるから油断できない。
こういうときはどうするか。
AF枠のサイズを変えられるカメラなら、一番小さくしてフェンスの隙間から見えるメイン被写体にちゃんとピントを合わせられるかどうか挑戦する。機種によっては駄目なこともある。
最後の手段はMF。ミラーレス一眼などライブビューメインのカメラだとMF時に拡大表示できることがほとんどなので、ピントを合わせやすい。相手がじっとしてないとアウトだけど、このカピバラのようにじっとしててくれるとけっこう実用的なのだ。
閑話休題で、前景がボケるボケないの話の続き。
フェンス越しに撮る場合、撮る人とフェンスの距離が短ければ短いほど、フェンスと被写体の距離が遠ければ遠いほど、フェンスは大きくぼけてくれる。つまり、ぼかした障害物と被写体は離れていた方がいいわけで、考えてみたら当たり前の話。
もうひとつ、望遠であればあるほどボケは大きくなる。600ミリ相当の超望遠と、200ミリ相当の望遠で撮り比べた場合、このくらい変わる。
望遠で狙った方がボケるってことで。ちなみにどっちもMFで撮ってる。オリが邪魔だったから。で、上の2枚、ありがちな失敗をしてしまってる。オリが目にかぶっちゃってるのだ。ボケているといっても邪魔なのは邪魔。それが被写体の重要なところにかぶらないようにしたい。
やっぱ目は見えていた方がよいものね。
で、フェンスが手前にあって被写体がフェンスから離れてくれるとこのように大きくボケてほとんど気にならなくなるし、このくらいだとAFで普通に撮れるわけだ。
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