ひとことでいうなら、ぼくらはこういうコンデジを待っていた、という感じ。「ぼくら」って誰だよ、というツッコミはおいといて、レンズは明るくてよく写り、撮像素子はそこそこのサイズで、高機能で、ほどよいコンパクトさで、何よりいじりがいがあって楽しいカメラなのだ。
それがパナソニックのハイエンドコンパクト“LUMIX”「DMC-LX7」(以下 LX7)である。前作「DMC-LX5」(レビュー)から2年。市場では各社がハイエンドコンパクトを投入し、それなりに市民権を得、ソニーに至っては1インチというでかいセンサーを使ってこの市場を抑えようという2012年、LXシリーズはどうするのだ、という問いに対しての答えがここにあるのだ。
そこまでいうと大げさなんだけど、けっこういい感じに仕上がってるのである。
LX7の一番のウリは超明るいズームレンズ。
ナノサーフェースコーティング(マイクロフォーサーズ用のちょっといいクラスのレンズで採用されてるコーティング)を施した24-90ミリ相当の広角系ズームレンズは、開放F値がF1.4-2.3という明るさ。これがすごい。24ミリでF1.4という時点でとんでもないのだが、90ミリ相当の望遠端ですらF2.3なのである。
例えば、キヤノンの「PowerShot S100」は望遠端が120ミリ相当だがF5.9である。ソニー「DSC-RX100」は100ミリ相当でF4.9である。富士フイルム「FUJIFILM X100」は112ミリ相当でF2.8であるが、ちょっとボディサイズがこれらに比べると大柄である。オリンパス「OLYMPUS XZ-1」は112ミリ相当でF2.5とかなり明るいが、1年半ほど前のモデルであって、各所に少々の古さを感じさせる。
そう考えると、90ミリ相当ながらF2.3というのはすごいのだ。LX7本体もその明るさを全面に押し出した設計となっている。鏡胴周りには絞りリングを搭載。F1.4から8.0までを1/3段ずつクリクリ回しながら変えられる。絞り優先AEで使ってねといわんばかりだ。
さらに背面にクリック付のレバーが追加された。レバーの左右はMF専用で、クリックするとNDフィルタがオンオフされる。NDフィルタを持つハイエンドコンデジは少なくないが、ワンボタンでオンオフできるのはわたしが知る限りLX7が初めてだ。F1.4ともなると晴天下で絞り開放で撮ると露出オーバーになってしまう。そう思ったら、NDフィルタをさくっとオンにすればいいのだ。
レンズの明るさがウリならそれを生かしたデザインにする、という姿勢がよい。さらに、NDフィルタを生かすべく、「プログラム線図」を選べるようになった。これはプログラムAE時、「開放優先」を選ぶと可能な範囲でF値を低くして撮影する機能で、絞り開放で撮れないときは自動的にNDフィルタがオンになるし、「解像優先」にすると解像感が高めになるような設定をカメラが自動的に施し、NDフィルタは必要に応じてオンになる。
NDフィルタを搭載したハイエンド機は珍しくないが、ここまでそれを生かそうというカメラはLX7がはじめてだろう。
撮像素子は1/1.7型のMOSセンサー。前モデルのCCDからCMOSに変更された。1280万画素のセンサーを使いながら、有効画素数は1010万画素。これはLXシリーズ伝統のマルチアスペクトのため。一般的なデジカメは4:3が基本で、3:2モードで撮ると4:3の上下をトリミングするだけ(つまり画角が狭くなる)だが、LXは画角をできるだけ維持したままアスペクト比を変えるられる。アスペクト比ブラケットで撮ってみるとよくわかる。
4:3と3:2を比べると3:2の方が左右が広く写っている。3:2で撮りたいけど画角が狭くなるのはいやだなあと思っている人には朗報。ISO感度はISO80から6400まで。同等クラスの他モデルと比べると高感度時の絵はいまひとつだが、レンズの明るさで十二分にカバーできてると思う。
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