今年も国内最大規模のカメラの祭典「CP+」が無事に終了した。ニコン「D800」やオリンパス「OM-D」、富士フイルム「FUJIFILM X-Pro1」といった注目製品が勢ぞろいした昨年に比べるとインパクトに欠ける感は否めなかったが、注目すべき傾向が何点か伺えた。
ひとつは「いい写真」を簡単に撮ってくれるアシスト機能の進化だ。「いい写真」というと漠然とした表現だが、Facebookを始めとしたSNSでいいね!してもらえる、「ひと味違う、いい感じの写真」と言う方が正確だろうか。スマートフォンやSNSの普及で写真を人に見せる(公開する)機会は増えており、構図やアングルといった写真に関する知識がなくともひと工夫した写真が気軽に撮れるカメラへの需要は確かにある。
オリンパス「PEN」シリーズの「アートフィルター」はその先鞭(せんべん)ともいえるものだが、今回のCP+ではキヤノン「PowerShot N」がワンシャッターで構図や色調、露出の異なる6枚を自動的に作り出す「クリエイティブショット」を搭載、また、オリンパス「STYLUS XZ-10」では、1つのシーンに対して撮影者がシャッターを連続して切ってゆくと、その撮影された複数枚の写真が、あたかも1枚の写真のようにレイアウトされる「PHOTO STORY」を搭載した。
いずれも「印象的な写真を簡単に」というコンセプトは共通しており、単純にシャッターを切るだけで面白い。これらの機能を使うと、被写体は自分で選び、自分でシャッターを切ったにもかかわらず、自分では考えも付かなかった色彩や構図になることも多く、いわば「撮ったことのない写真」に出会う感覚は、長く写真を撮っている人にも新鮮に映るだろう。
オリンパスがアートフィルターを搭載したときにはここまでデジタルフィルターが一般的になると予想した人はそう多くないはずだが、ちょっとしたスパイスをカメラが加えてくれる機能への要望は存在していたわけで、結果的には同種機能を搭載していない製品を探す方が難しくなっている。それを考えると、紹介した2モデルが備える、「ひと味違ういい感じの写真を簡単に撮る」機能が他社他モデルへ波及していく可能性は十分にあるといえる。
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