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CP+ 2013に見えた 3つのデジカメトレンドCP+ 2013(2/3 ページ)

» 2013年02月08日 16時36分 公開
[渡邊宏,ITmedia]

ミラーレスはまだまだ激動の予感

 2012年にキヤノンが「EOS 5D Mark III」「EOS 6D」、ニコンは「D800/800E」「D600」と立て続けにフルサイズセンサーを搭載した新型機を投入したこともあり、CP+では両社共にフルサイズ機の体験コーナーに注力した印象。フルサイズ機「α99」を投入したソニーもAマウントレンズの参考展示や望遠レンズの高速連写体験コーナーを設けており、デジタル一眼レフ、とくにフルサイズに関していえば、2013年はレンズラインアップの充実を含めた熟成の1年なるように思える。

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ただ、2012年はフルサイズ機が各社から登場した一方で、APS-Cフォーマットの上位機はソニーの「α77」以外、姿を現していない。ニコンとキヤノンはそれぞれ「D7000」(2010年10月発売)、「EOS 7D」(2009年10月発売)とAPS-Cフォーマット採用機をラインアップに並べているが、いずれも登場から時間が経過している。両社共にAPS-Cの良さとその存在意義は認めているだけに、なんらかの刷新が行われることは間違いないだろう。

 ミラーレスは2012年にキヤノンの参入があり、市場としては低価格なエントリー機からパナソニック「DMC-GH3」やオリンパス「OM-D」、それにソニー「NEX-7」、富士フイルム「FUJIFILM X-E1」「FUJIFILM X-Pro1」といった高級機までがそろい、選択の幅は非常に広い。今回のCP+ではその流れを補強するように、ミラーレス用交換レンズの新製品展示や参考展示が行われていた。

photophoto タムロンが開発表明したマイクロフォーサーズ用の高倍率ズームレンズ「14-150mm F/3.5-5.8 Di III VC (Model C001)」(写真=左)、シグマは「Art」ラインにミラーレス用単焦点レンズを3種類投入する。写真は「60mm F2.8 DN」(写真=右)

 ミラーレスにおいてはカメラボディの選択肢が広がり、また、サードパーティ参入もあってレンズバリエーションも増えているというのが現状だが、これはミラーのあるデジタル一眼レフが通ってきた道でもある。そこで「ミラーレスならではの優位性」を提案、実装する製品も増えている。

 パナソニック「DMC-GH3」は映像製作用を前提としたMOV形式でのALL-Intra(最高ビットレート72Mbps)とIPB(最高50Mbps)にも対応しており、プロユースに耐える動画カメラとしての存在をアピールする。ニコン「Nikon 1 V2」「Nikon 1 J3」は、シャッター半押しの間にキャプチャした写真をスロー再生して決定的瞬間だけを残す「スロービュー」や、連写した中からカメラが5枚だけ選んでくれる「スマートフォトセレクター」、それにAF追従の15コマ/秒連写などを搭載しており「撮れない1枚はないカメラ」を目指す方向が見える。

 Nikon 1に搭載されているような、動画と静止画に境界線を引かないことで実現する機能はカシオ計算機が得意とするところだが、ニコンはNikon 1シリーズの熟成を進める中で、着実にそうした機能も強化してきた。ミラーを搭載するデジタル一眼レフ「Dシリーズ」を持つ同社だからこそ、Dシリーズと競合しないために「“ミラーレスならでは”とは何か」を考えてきたのだろう。

 選択肢の増えた今だからこそ「ミラーレスとは何か」を熟考した製品が目に付くのだ。デジタル一眼レフの置き換えを目指し、軽さを生かしたままにAF速度の向上やレンズを含めたシステムの充実を目指す製品もあれば、形状の自由さを生かした製品もある。動画撮影に注力した製品もあれば、動画と静止画の境界を飛び越えるような製品もある。こうした「ミラーレスとは何か」を考えた製品の投入は今後も続くだろう。

photo ミラーレスの新製品発表は行われなかったが、オリンパスが「E-P3後継機」を展示した。OM-DなどE-P3発表後に発表された製品の技術を投入した画質優先モデルと思われる

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