「無線LAN機能搭載メモリーカード」というジャンルを切り開いたのが、アイファイの「Eye-Fi」であることは間違いないところで、先日も新製品としてスマートフォンへの画像転送に特化した「Eye-Fi Mobi」を発表しており、進化を続けている。
ただ、ハードウェアとしての構造は比較的シンプルであるせいか、「無線LAN機能搭載メモリーカード」というジャンルの製品はその後続も「ez Share」や「PQI Air Card」「Trek 2000」など複数種類が登場している。その筆頭といえるのが、2012年に登場した東芝の「FlashAir」だ。
―SDカードに無線LAN(WiFi)機能を搭載、カメラに差し込むことで無線対応にできる
―SDメモリカードの規格に準拠
―Webブラウザからアクセスして利用可能。操作もシンプル
―カメラの機種に依存しない
―転送を受ける側のスマホやタブレットにアプリを入れなくてもOK
―操作が全般的にシンプル
―基本的にはスマホ/タブレットからの「閲覧」用。転送メインではない
―対応カメラがEye-Fiに比べると少ない
―バックアップ用途には不向き
FlashAirはIEEE1394 b/g/nのWiFiを内蔵したSD(SDHC)メモリーカードで、カメラからカードを抜き出すことなく、記録されたデータをスマートフォンなどから閲覧できる。いわゆるスマホ向け画像転送の「ワイヤレスデータ転送」のほかにも、カードを装着した機器同士でデータを交換する「Peer to Peer(P2P)機能」、オンラインストレージなどへデータをアップロードする「サーバアップロード機能」が用意されているが、P2Pについては現在のところ対応機器は発売されておらず、サーバアップロード機能についてもキングジムのデジタルメモ「ポメラ(DM-100)」しか対応機器は登場していない。
つまり、WiFi内蔵で可能なことはいくつかあるものの、現時点では記録されたデータをスマホなどからシンプルに閲覧(そして気に入ったものを保存)するためのアイテムと思った方がいい。
このFlashAirの場合、この「シンプルさ」が大きな特徴といえる。
前回紹介したEye-Fiはパソコンやクラウドサービスなどへの自動転送/保存までも設定できるため、一度システムとして動き出せば快適に利用できるが、撮影した数枚をその場でスマホの画面で見て、SNSなどへ投稿するだけでいいというニーズに対してはやや多機能すぎるきらいもある。
その点、FlashAirはカメラとスマホを無線で接続する手順さえ踏めば、スマホのWebブラウザからカードに保存した画像を確認でき、必要であればそれをスマホ側へ転送すればいい。iOS/Androidのアプリは用意されているが、なくても実用上の問題はない。カードのSSID/パスワードを周囲の人間に教えれば、1台のカメラから複数台のスマホでアクセスし、画像をシェアすることもできる(カードのSSID/パスワードはアプリから変更できる)。
スマホやタブレットの内蔵ストレージにコピーしたい時には、Webブラウザから閲覧している場合には、1枚1枚選択して画像の長押しなどでコピーすることになる。枚数がちょっと増えるとこれはかなり面倒。用意されているアプリからならば、一括/複数選択してのダウンロード(スマホ側への転送)が行える。常用するしないは別として、アプリはインストールしておく方がいいだろう。
カードが持つ機能の紹介としてはほぼこれですべて。とにかくシンプルだ。
このようにシンプルな使い勝手が特徴のFlashAirだが、一番の問題は対応カメラの数がEye-Fiに比べると少ないこと。対応状況は製造元である東芝のサイトにてまとめられているが(FlashAir 動作確認機器一覧)、そのなかに「EOS Kiss X7」といった今春新製品の名前がないほか、「D600」や「D7100」「EOS 6D」「NEX-7」など発売からそれなりに時間の経過した人気機種の名前もない。オリンパス「OM-D E-M5」「E-PL3」などは構造上の問題で非対応と明記されているものの、オフィシャルサイトで対応の可否について記載のない機種が多いのは問題だろう。
非対応(対応表に型番のない)のカメラでも動作しないという訳ではない。対応表に型番の掲載されていない富士フイルム「FUJIFILM X-E1」で利用したところ、SDカードとしての利用は問題ないものの、ワイヤレスデータ転送が行えたり行えなかったりとWiFiに関しての動作が不安定になることを確認した。
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