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“N”のバッジが輝く入魂の1本――ニコン「1 NIKKOR 32mm f/1.2」交換レンズ百景

» 2013年07月19日 00時00分 公開
[三井公一,ITmedia]
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 ニコンのミラーレス一眼(ニコンはレンズ交換式アドバンストカメラと呼んでいる)「Nikon 1」用に待望の大口径中望遠レンズ「1 NIKKOR 32mm f/1.2」が登場した。開放F値は1.2を実現し、数々の銘玉に採用されているあの“ナノクリスタルコート”までおごられている。ニコンのこのシリーズに対する意気込みが伝わってくるではないか。

 1 NIKKOR 32mm f/1.2の32ミリという焦点距離は、装着時に35ミリ換算で86ミリの画角に相当する(ニコン 1のCXフォーマットでは約2.7倍の画角となる)。フルサイズで例えるならば85ミリ/1.2という、明るくて背景もボカせるポートレートレンズといったところであろう。

photo ニコン「1 NIKKOR 32mm f/1.2」(ボディは「Nikon 1 V2」)

 レンズの造りはとても上質だ。高品位な金属製の外観で、Nikon 1 V2に装着した姿は実に戦闘的。持った時のバランスも抜群である。先端部にはマニュアルフォーカスリングが設けられ、サイド部にはナノクリスタルコートの証である“N”バッジが輝いている。しっかりとしたバヨネット式のフードも頼もしい。ニコン 1ユーザーならいつかは手に入れたいレンズに仕上がっている。

photo F1.2、1/500秒、ISO160、絞り優先オート、WBオート、露出補正 -0.3

 街中のオブジェ。ビルの谷間だったので絞り開放で撮影した。合焦はSWM (Silent Wave Motor・超音波モーター)のおかげで素早く、薄いピントながら正確に合わせることができた。オブジェの質感も見事ながら、落ち着いた感じのボケも魅力的である。この焦点距離はポートレートだけでなくスナップにもいい。

photo F3.2、1/640秒、ISO160、プログラムAE、WBオート、露出補正 -0.3

 銀座で停車中のSUVをスナップ。ヘッドライト内部のリフレクターのクリアさ、ボディへの映り込みが美しい。薄曇りだったが、しっかりとしたコントラストのある写真となった。単焦点ならではのヌケの良さを感じる。

photo F1.2、1/800秒、ISO160、絞り優先オート、WB太陽光、露出補正 +0.6

 歴史的な洋館の照明を撮影。F1.2という開放値を生かせば、薄暗い条件でも手ブレしない高速なシャッタースピードと、上品なボケ味の両方を手にすることができる。見学者の多い静かな建造物内でも、Nikon 1 V2の無音な電子シャッターを使えば心置きなく撮影を楽しめる。感じたままに近い色再現が素晴らしい。

photo F2、1/6400秒、ISO160、絞り優先AE、WB太陽光、露出補正 +1.0

 ピーカンのビーチでほぼ開放のF2で撮影。1インチセンサーのCXフォーマットだが、品良くキレイに背景がボケてくれた。モデルの身体についた水滴、指先の砂粒など小さい撮像素子とは思えないほどの写りである。肌の色味や立体感にも注目して欲しい。

photo F2、1/8000秒、ISO160、絞り優先AE、WB太陽光、露出補正 +1.0

 前カット同様絞り開放近くでのカット。Nikon 1 V2は電子シャッターで1/16000秒まで速度を速めて切れるので、真っ昼間でもF1.2での撮影も可能になる。なのでこのレンズの美しいボケをNDフィルターなしで味わえるのだ。ここではちょい絞って肌のトーンを重視して撮影。若々しくみずみずしい張りを自然な描写でとらえることに成功した。

photo F3.5、1/1000秒、ISO160、絞り優先AE、WB太陽光、露出補正 +1.0

 35ミリ版換算で86ミリという画角は実に使いやすい。グッと寄っての表情重視のポートレートから、引いての全身カットまで、人物撮影にオールマイティーに使える。モデルとの適度な距離感はポーズ指示の声も通りやすく、撮る者と撮られる者の緊張感を保ってくれる。このカットはF3.5で、顔から豊満なバストまでを被写界深度に入れるべく撮影した。取り回ししやすいニコン 1システムは動きながらの撮影に最適だ。

photo F3.2、1/1000秒、ISO160、絞り優先AE、WB太陽光、露出補正 -0.3

 こちらのカットもちょい絞りで、瞳からバストまでを被写界深度に入れて撮影。高い岩場に登ってもらい、前ボケとして岩を入れて高度感を演出。若干アンダー目に露出補正をして鮮やかな水着のカラーを出した。遠くを見つめるモデルの凛とした瞳が美しい。また宙に躍る髪の毛の描写もシャープである。クリアさはナノクリスタルコートの恩恵であろうか。

(編注:本記事では一般的な撮影状態での利用を念頭としているため、人物撮影にレフ版などは利用しておりません)

(モデル:石川彩夏 オスカープロモーション)

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