キヤノンから8月29日に発売されたデジタル一眼レフカメラ「EOS 70D」。型番が示すように同社の中級機、いわゆるフタケタEOSの最新製品で、EOS 60Dの後継モデルとして位置づけられている。ライブビュー使用時においてのAFが劇的に高速化する「デュアルピクセルCMOS AF」の搭載が耳目を集めているが、それ以外にも数多くの機能が搭載されている。その使用感をお伝えする。
さっそく箱を空けて取り出し、しげしげと見てみる。パッと見は「EOS 60D」とそう変わらない印象だ。スペックシートを比較しても、ボディは横幅が5ミリほど短くなっているが、重量は約675グラムと同じ。一部、操作ボタンが増えてレイアウトが変更されているが、背面に搭載された3型バリアングル液晶モニターやマルチコントローラーを中心に操作ボタンが配置されているデザインは一緒だ(「EOS 70D」を「EOS 60D」と写真で見比べる)。
このように見た目は先代ととさほど変わるところのない70Dだが、中身はまったく違う。先に述べたデュアルピクセルCMOSによるライブビュー時のAF高速化以外にも数多くの機能が強化されている。
ファインダー撮影時に使用する位相差AFの測距点は、60Dの9点から19点(両機とも全点クロス測距)にパワーアップ。連写速度も5.3コマ/秒から7コマ/秒と、撮影枚数が格段に増えた。画像まわりはセンサーが1800万画素から2020万画素に画素数が増え、画像処理エンジンは最新の「DIGIC 5+」に変更された。それもあって、最高感度はISO12800(拡張時はISO25600)とさらに高感度に強くなっている。
スペックダウンと見られるのは満充電時における撮影可能枚数が1100枚から920枚にダウンしたことくらい(同じバッテリー「LP-E6」を使っているのだが)。それ以外はWi-Fi対応、タッチ操作可能なバリアングル液晶モニターなど、強化されたり新たに追加された機能が満載で、60Dとは比べものにならない仕様となっている。
ここまで機能が強化されていると、どうしてもEOS 7Dと比べてしまう。7Dは発売してから4年経過したが、同社のAPS-Cモデルのフラグシップ、中級機の最上位モデルとして今でも同社ラインアップに名を連ねている。その性能とアグレッシブな価格設定で大人気となったモデルでもある。かくいう筆者も7Dユーザーで、その後の後継機を待っていたりする一人なのだが、ここまで待っていても出てこないので、今回の70Dに鞍替えしてまおうかとも思ってしまったりする。というわけで、70Dと7Dを比較してみることにした。
ボディは明らかに7Dが一回り大きく、重さも約820グラムと145グラムの違いがあり、持った感覚でも70Dがかなり軽く感じられる。
そして操作に関してはかなりの違いがある。バリアングル液晶モニターがあることからボタンの配置が異なっており、7Dは再生やメニューボタンが液晶モニターの左側に配置してあるので、両手を使って操作する感覚なのだが、70Dは右手のみで操作するといった具合だ。また、画像の選択やメニュー項目選びで使うマルチコントローラーとサブ電子ダイヤルが70Dは同じ位置にあるのに対し、7Dは独立した場所に配置されているので、ある程度の慣れが必要だ。またカスタム設定も1カ所(7Dは3カ所)しか登録できないので、カスタマイズ機能を使い分けているユーザーは要注意となる。
ボディ周りで一番の違いを感じたのは光学ファインダーだ。70Dは視野率約98%で倍率約0.95倍、それに対し7Dは、視野率約100%で、倍率約1.0倍と、スペック表で見ても違いがあるのだが、これが実際に覗くと、7Dの方がはるかに大きくて見やすい。
もちろん、70Dは60Dと比べると視野率が2%広がっているので見やすくなっている。限られたボディスペースを考えれば上出来と言える。でも、7Dの光学ファインダーと同程度のものを求めるとなると厳しいと言えよう。この部分を重要ポイントとしている人は、実際に自分の目で確かめておくことをオススメする。
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