富士フイルムのサービスステーションで、「FUJIFILM X-T1」や各種XFレンズが借りられるサービスがあることをご存じだろうか。FUJIFILM Xシリーズに興味がある他社製カメラのユーザーや、購入前に実際にレンズを使ってみたいユーザー向けに、有料でカメラとレンズのレンタルサービスを実施している。
このサービス、目的はレンタルサービスで利益を出すことではなく、あくまでもユーザーのレンズやボディ購入をサポートすることであり、料金は低廉だ。さらに、借りた当日に返却するなら、なんと無料で利用できる。サービスステーション近隣で試し撮りをするのなら、身分証明書とクレジットカードさえあれば、ふらりと訪れてカメラとレンズが借りられる。サービス内容は東京、大阪、福岡の各サービスステーション共通だ(一部レンズのラインアップが異なる場合がある)。
ボディのレンタルサービスを行っているメーカーは珍しい。また、レンズだけなら最長7泊8日までの期間、貸し出しをしており、旅行などに持って行くことも可能だ。1人あたりボディ1台とレンズ2本まで同時に借りることができる。
どれくらい簡単に利用できるのか、実際に東京サービスステーションでFUJIFILM X-T1とフジノンレンズ「XF18-135mmF3.5-5.6 R LM OIS WR」を借りてみた。
富士フイルムの東京サービスステーションは、本社がある東京ミッドタウンにある。外苑東通りに面したショウルーム、FUJIFILM SQUAREの2階にあるサービスセンターへ直行するなら、入り口を入ってすぐ、フロア中央にあるエスカレータを上ればいい。
東京サービスセンターは、こぢんまりした部屋だが、一度に3組まで対応できるカウンターとソファー、対面式のテーブルが用意されている。レンタルサービスや修理の申し込みは、カウンターの端にある番号札を取って順番を待つ。取材したのは平日の昼間だったが、2組のユーザーがレンズの貸出や修理依頼に訪れていた。
先客がおらず、X-T1とレンズの貸出サービスを利用したい場合は、サービスセンターの左側奥にあるガラスケース横のコーナーを見てみよう。貸出可能な機材の札が用意されているので、ここで借りたい機材を選ぶ。札がなくなっているものは貸し出し中なので借りられない。レンタル機材は先着順で貸し出しとなり、予約や取り置きはできないが、事前に電話で在庫の確認はできるので、お目当てのレンズがある場合などには往訪前に問い合わせておくと安心だ。
前述のとおり、当日に返却するなら料金は無料だが、ボディは1泊2日で2700円(税込み)、レンズは1泊2日か3泊4日、7泊8日が選べ、種類によって料金が設定されている。本稿執筆時点でのレンタル価格は以下の通りだ。
レンズ | 当日 | 1泊2日 | 3泊4日 | 7泊8日 |
---|---|---|---|---|
XF14mmF2.8 R | 0円 | 1080円 | 3990円 | 7980円 |
XF18mmF2 R | 0円 | 1080円 | 2740円 | 5480円 |
XF23mmF1.4 R | 0円 | 2160円 | 4740円 | 9480円 |
XF27mmF2.8 R | 0円 | 1080円 | 2240円 | 4480円 |
XF35mmF1.4 R | 0円 | 1080円 | 2740円 | 5480円 |
XF56mmF1.2 R | 0円 | 2160円 | 5490円 | 10980円 |
XF60mmF2.4 R Macro | 0円 | 1080円 | 2990円 | 5980円 |
XF10-24mmF4 R OIS | 0円 | 2160円 | 5490円 | 10980円 |
XF18-55mmF2.8-4 R LM OIS | 0円 | 1080円 | 2990円 | 5980円 |
XF18-135mmF2.8-4 R LM OIS WR | 0円 | 2160円 | 5380円 | 10750円 |
XF55-200mmF3.5-4.8 R LM OIS | 0円 | 1080円 | 3490円 | 6980円 |
XC16-50mmF3.5-5.6 OIS(※1) | 0円 | 1080円 | 1990円 | 3980円 |
XC50-230mmF4.5-6.7 OIS(※1) | 0円 | 1080円 | 2250円 | 4500円 |
※2014年12月17日現在。最新の価格は富士フイルムのサービスステーションWebサイトなどを確認してください。※1のレンズは、大阪サービスステーションでは扱っていません |
借りたいレンズが決まったら、必要事項を書類に記入する。レンタルに当たって、写真付きの身分証明書とクレジットカード(ない場合は保証金1万円、機材返却時に返金)の提示が必要で、簡単なアンケートへの記入を求められるが、利用規約も分かりやすく、サービスステーションでの説明も丁寧だ。慣れれば気軽に何度でも借りに来てしまいそうである。一度に借りられるレンズは2本までだが、利用回数に制限はない。X-T1とXF18-135mmの1泊2日のレンタル料金は4860円だった。
ちなみにレンタル機材には、レンズキャップやネックストラップ、アイピースカップ、端子カバーなど、撮影時に必須の小物も付いてくるので、貸し出し時にはそれらがきちんと付いていることの確認がある。返却時になくなっていると実費を負担する必要があるので注意しよう。なお、持ち帰る際にカメラとレンズが入れられるバッグは持参した方がいい。
料金は現金かクレジットカードで支払える。決済が完了したら、すぐにでも機材を持ち出せる。返却日には、サービスステーションが閉まる18時半の30分前、18時をめどに返してほしい旨を伝えられた。翌日の18時まで使い倒せることを考えると、ずいぶんお得な料金設定と言えるだろう。サービスステーションがオープンする10時に借りれば、当日返却でも8時間FUJIFILM Xシリーズとレンズが自由に使える。こんな便利なサービスを利用しない手はない。
富士フイルムのサービスステーションは、いずれも駅から近い好立地にある。特に東京サービスステーションは、ショッピングのついでなどにも立ち寄れる場所にあり、FUJIFILM SQUAREで写真展を楽しんだり、最新モデルのタッチ&トライなどを体験したりしつつ利用できるので、FUJIFILM Xユーザーはもちろん、まだFUJIFILM Xを持っていない人にも便利な場所だ。
また東京ミッドタウン界隈は、つい写真を撮りたくなるような場所も多く、被写体には事欠かない。ミッドタウンガーデンや檜町公園、六本木ヒルズ森タワーや毛利庭園、国立新美術館などを巡れば、試し撮りも十分楽しめるだろう。
今回1泊2日でレンタルしたX-T1とXF18-135mmは、ミッドタウンのイルミネーションや神宮外苑のイチョウ並木の撮影に持ち出してみたが、最大5段相当の手ブレ補正により、手持ちでも美しいイルミネーションの雰囲気をブレることなく捉えられたり、多くの人が行き交う場所でもさまざまなアングルや画角での撮影ができたりと堪能できた。
実際に自分が撮りたいものを撮りながら、どんな写真が撮れるか、どんな操作が必要かを確認できるのはとてもありがたい。思わぬ魅力、あるいは弱点を見付けられる可能性もあり、その結果は返却時にサービスステーションに伝えればきっと喜ばれるはずだ。FUJIFILM Xシリーズに興味を持っている人なら、ぜひとも利用すべきサービスとして覚えておきたい。
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