今年もたくさんの交換レンズを使う機会を得た。中華製の格安レンズから技術の粋を集めた国産高級レンズまで多種多彩な製品をとっかえひっかえ体験していると、性能の評価や分析にはあまり関心がなくなってくる。どんな描写も、そのレンズの個性として納得してしまうのだ。興味の中心はもっぱら「写りの個性をどう生かすか、どうやって撮ると楽しめるか」ということ。
そんな私が今年発売のレンズから、特に使いこなし甲斐があり、使うことが楽しく感じられた製品を3本選んでみた。いずれも撮影意欲が刺激され、ワクワクした気分にさせてくれるレンズである。
タムロン「SP 45mm F/1.8 Di VC USD」は、最近では稀少ともいえる45ミリの焦点距離を備えた標準レンズだ。一般的な50ミリの標準レンズよりもわずかに広い範囲が写り、誇張のない自然な遠近感と距離感で眼前の風景を切り取れる。
効果3.5段分の手ブレ補正や、逆光に強いeBANDコーティング、水の影響を受けにくい簡易防滴対応もありがたい。最初の写真は、絞り開放値による近接撮影だ。ピントが合った部分とぼけた部分がなだらかにつながり、浮き出るような立体感が出た。逆光だったが、十分なコントラストも維持できている。
2枚目はF11まで絞り込むことで、ストロボ光がとどかない背景部分を暗く落として表現したもの。マクロレンズではないが、こうしたクローズアップでの撮影がやみつきになるほど楽しめるレンズである。
シグマ「20mm F1.4 DG HSM」は、フルサイズ対応で20ミリという超広角の焦点距離でありながら、開放値F1.4という従来にない明るさを実現したレンズだ。これによって得られるのは、ワイド感とボケの両立。つまり広い範囲を捉えつつ、被写体の前後にふんわりとしたボケを生み出すことができる。
レンズの重量は950グラムと結構重い。だが、開放値からのシャープな写りと、絞り込んだときのさらに鋭い描写、F1.4ならではの滑らかなボケ表現をワイドな画角で堪能できることを考えれば、ずっしりとした重さを我慢して持ち歩くだけの価値は十分にある。
キヤノン「EF35mm F1.4L II USM」は、約17年ぶりにリニューアルされた35ミリ大口径のLレンズだ。最大の見どころは、新開発BRレンズの採用によって、軸上色収差がほぼ完ぺきに補正されていること。大口径レンズにありがちな色のにじみがなく、クリアで滑らかなボケがとても美しい。
さらに、周辺までの良好な解像性能や、スムーズに作動するAF、適度な重量感がある高品位な外装にも好印象を受けた。単焦点ながら表現力と利便性、信頼性は非常に高く、写りの面でも使い勝手の面でもとにかく心地よいレンズといえる。もし購入すれば、次のモデルチェンジはいつかは分からないが、きっと10年以上長く付き合えるだろう。
プラス5度の余裕がある大口径の新標準レンズ――タムロン「SP 45mm F/1.8 Di VC USD」
レンズ前約7センチまで寄れる新型ワイドレンズの実力――タムロン「SP 35mm F/1.8 Di VC USD」
日常風景も新鮮に表現できるボケとキレ味――キヤノン「EF35mm F1.4L II USM」
B級とは侮れない中国製レンズの深みと味わい――中一光学「CREATOR 35mm f2.0」
懐かしさ漂う中国製レンズのボケ表現――中一光学「CREATOR 85mm f2.0」
1本で飽きずに楽しめる標準マクロレンズ――パナソニック「LUMIX G MACRO 30mm」
レンズ沼に誘う新型の“撒き餌レンズ”を試す――キヤノン「EF50mm F1.8 STM」
全域F2.8の明るさを誇る超ワイドズーム――ケンコー・トキナー「AT-X 11-20 PRO DX」
高品位&防じん防滴に生まれ変わった10.7倍ズーム――オリンパス「M.ZUIKO DIGITAL ED 14-150mm F4.0-5.6 II」
Kissと相性抜群のパンケーキレンズ――キヤノン「EF-S24mm F2.8 STM」
16年ぶりにリニューアルした超望遠Lレンズ――キヤノン「EF100-400mm F4.5-5.6L IS II USM」Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
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