シグマからまたとんでもないレンズが登場した。世界初となるフルサイズ用20ミリのF1.4を作ってしまったのである。その描写は、超広角でありながら背景を美しくぼかせる、というまれなものであった。
「SIGMA 20mm F1.4 DG HSM | Art」はとても存在感がある。大きく見開いた瞳のような前玉はとてもボリューム感があり、いかにも写るぞ、という雰囲気を醸しだしている。レンズ全体のデザインは既におなじみとなったアートラインの流れだ。ぜいたくなガラスをふんだんに使用したこのレンズは手に取るとズシリと重たい。950グラムという重みだが、今回使用したニコン「Df」に装着すると「よし撮るぞ!」という気にさせてくれるから不思議だ。
写りは独特で唯一無二のものだ。20ミリという超広角で広い範囲を写し込みながら、上品に背景をぼかしつつ、クセのない描写を見せてくれる。FLDガラス2枚、SLDガラス5枚を採用し、各種収差を良好に補正しているので、あらゆる被写体を絞り開放からシャープに写しとることが可能だ。「ゼロディストーション」をうたった「SIGMA dp0 Quattro」が35ミリ判換算で約21ミリなので、焦点距離が約1ミリ異なっているが、同様にゆがみが非常に少ない質の高い写りとなっている。ニコンDfにこのレンズを装着して、モデル撮影やスナップを楽しんだが、オートフォーカスの速度と精度ともに優秀で、逆光にも強く、超ワイドでありながらボケ味も堪能できるという珍しい写り心地であった。このユニークな絵を味わえるのは、現在シグマ、ニコン、キヤノンの3マウントとなっている。3社の一眼レフを持っているならば試さない手はないだろう。
20ミリでありながら開放値F1.4、しかもゆがみが少ないのでポートレート撮影でも使える超ワイドレンズだ。広い範囲を写しとりながらボケ味を堪能できるのが特長である。
落葉した銀杏の上にモデルに横たわってもらい、チョイ絞りで瞳にピントを合わせてシャッターを切った。肌の張り、セーターの質感などリアリティある写りが実にいい。
銀座の歩行者天国。太陽をドン! と入れてシャッターを切ったが、光芒の感じも端正で、フレアもあまり気にならないレベルの写りで驚いた。超広角だと太陽など光源が画面に入るシーンが多いのでこれはうれしい。
大きく重たいレンズだが、この描写と明るさはさまざまなシーンで大きな武器になるに違いない。ポートレートからスナップ、風景や建築物撮影などにも向いている。最短撮影距離は27.6センチだ。
風景やネイチャー撮影でも素晴らしい描写を見せてくれる。F8まで絞って撮影したが、画面中心部から周辺部まで安定した写りである。より高画素なカメラでも質の高い画を提供してくれるはずだ。
モデルのまつげにピントを合わせ、グッと寄ってみる。デフォルメ感はあるがイヤなゆがみがなく、自然な立体感で面白い写りを見せてくれた。このレンズならではの描写である。
(モデル:加藤美穂 オスカープロモーション)
※編注:本記事では一般的な撮影状態での利用を念頭に置いているため、人物撮影にレフ版などは利用していません
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