高まるオペレーショナルBIの重要性特集:データ経営でビジネスを制す(3/3 ページ)

» 2005年10月12日 22時24分 公開
[栗原 潔,ITmedia]
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BAMという新しい動向

 上記の基幹系と情報系の融合というトレンドにおいて、特に注目すべき動向にBAM(Business Activity Monitoring)がある。BAMとはビジネスの遂行において発生するさまざまなイベントを監視し、リアルタイムで分析することで、必要なアクションが取れるようにするシステムを指す。

 BAMを理解する上で一番分かりやすいのは、ネットワーク管理ソフトウェアにたとえることだろう。ネットワーク管理ソフトはルーターなどのネットワーク機器から送られる情報を常に監視している。すべての情報を表示していては大量のメッセージが表示されて、管理不能になるので、あらかじめ定められたルールに従ってメッセージ表示を行う。

 たとえば、きわめて重要度が高いメッセージのみを表示する、一定時間内でしきい値を超える回数のエラーが発生した場合に表示するなどだ。場合によっては、発生したイベントに対処するための処理(たとえば、ルーターの遮断)を自動的に起動することもあるだろう。BAMは、このようなネットワーク管理ソフトが行っているのと同様の機能を、アプリケーション・レベルで提供するシステムだ。

 たとえば、コールセンターを例にとってみよう。顧客からの着呼を常に監視し、話し中の頻度がしきい値を超えた時に、管理者にアラートを表示することができる。管理者は、たとえば、アウトバウンド処理に割り当てていたオペレーターをインバウンド側に割り当てるなどの対応を取ることができるだろう。

 また、あらかじめ定めたルールに基づいてこれらの処理を自動化することも可能だ。この例のように、単にイベントがしきい値を越えて発生した際にアラートを表示したり、アクションを起動したりというだけでは、あまり情報系というイメージはないかもしれない。

 しかし、より複雑なBAMの応用では、過去の履歴データを含めた分析を行うことで、より効果的なイベントの監視と対応処理の自動化が行えわれることになるだろう。

 もちろん、このような基幹系と情報系の融合による新しいシステムはまだ先進的な存在であり、ユーザー企業の情報システムのメインストリームの位置を占めるようになるには相当の時間を必要とする。

 しかし、このようなシステムは他社との差異化を出しやすいという特徴がある。情報システム内のごく一部にBAMの考え方を適用するだけでも大きな効果を上げられる可能性がある。他社と一味違う情報システムを構築するためには、BAM的な考え方に注目すべきだ。

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