「IT基盤の再構築で法規制順守と生産性向上を両立できる」とマイクロソフトの平井常務Interview(2/2 ページ)

» 2006年01月02日 07時42分 公開
[浅井英二,ITmedia]
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日本版SOX法への対応はネガティブな投資ではない

ITmedia 日本版SOX法対応ですか?

平井 プロジェクトをスタートさせ、企業の日本版SOX法対応支援を着々と準備をしているところです。内輪では「Tabi」というコードネームで呼んでいます(笑い)。

 日本版SOX法は米国のそれと違い、ITの利用が義務付けられており、IDC Japanによれば、2006年に関連投資が1000億円、2007年には3000億円を超えると見込まれています。こうした多額の投資が、企業からすると、日本版SOX法への対応がネガティブな投資、直接的な効果を生まない投資ととらえられているかもしれません。また、さまざまなプロセスが要求されので、たいへんだというイメージがあるかもしれません。しかし、わたしはこうした法規制への対応と生産性の向上は相反するものではなく、両立、もしくは相互補完できるものだと思っています。法規制を順守することで実際に現場の生産性をもっと高められる仕組みが出来上がると考えています。

 日本版SOX法は、3つに大別できます。「IT基盤の全体統制」「業務統制」、そし「文書管理」です。

 IT基盤の全体統制は、まさしく先ほどのIOMなのです。もう一度、IT基盤の認知度を高めていき、IOMのモデルを活用しながら顧客にガイダンスしていきます。

 業務統制は、ERPベンダーやコンサルティング会社が得意とするところで、この分野ではSAPジャパンと協業しています。過去1年、あるいは1年半まで遡ってもSAPの新規ライセンスの80%以上はWindowsプラットフォーム上で稼動しています。もちろん、彼らとは共同開発プロジェクト「Mendocino」でOffice Systemとの連携を進めています。

 文書管理は、われわれの得意とする分野で、SharePoint Portal Serverを活用することで新しいコラボレーションとコミュニケーションのプラットフォームを構築することができます。今年、SharePoint Portal Serverも新しいバージョンが登場します。さらにVisioも簡便な方法で経営の可視化を支援します。業務フローを可視化することが要求されるようになりますが、業務フローをVisioで作成することで、監督官庁から資料の提出を求められたときにも、WordやExcelに簡単にデータを引き渡して資料を作成して提出できます。米国本社ではSOX法対応に活用している実績があります。

ITmedia どのベンダーも日本版SOX法対応をうたっています。

平井 どのベンダーも昨年までは「SOA」と言っていました。その前は「EA」や「ITIL」です。これからは「SOX」でしょう。しかし、IT業界に携わる者の使命として、これらの関連をちゃんと顧客に示していかないと、「同じ“S”で始まるけど、何が違うの?」ということになってしまい、信頼を失ってしまいます。

 これらは何も過去とまったく違うことを新たに持ち出しているのではなく、語るレイヤーが違うだけです。ガバナンスのレイヤーが日本版SOX法だとしたら、その下にはビジネスサービスとしてSOAがあってしかるべきです。それぞれ違うレイヤーが重なり合って全体を統制するのがITILになるのだと思いますが、これらを1枚の絵できちんとポジショニングすることによって顧客の信頼を勝ち得ることができるのだと思います。

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