富士通が携帯電話センサーの新技術を開発、応用アプリで紹介情報処理技術の具現化

富士通は携帯電話に搭載したセンサーの情報を解析する新技術を開発。応用例としてゴルフスイングの動きを検知してアドバイスするアプリケーションを紹介した。

» 2009年09月29日 10時30分 公開
[ITmedia]

 富士通は9月28日、携帯電話に搭載するセンサーからの情報を解析する新技術「3Dモーションセンシングエンジン」を発表した。同技術応用したアプリケーションも紹介し、搭載端末をリリースするという。

 3Dモーションセンシングエンジンは、携帯電話に搭載した加速度センサーなどの情報を基に、立体的な運動データを解析するもの。同社ではこれまで加速度センサーを利用した歩数計アプリケーションや、地磁気センサーを活用した地図連携アプリケーションなどを端末に搭載してきた。

 今回はゴルフのスイング動作の解析を目的に、センシング・コントロールラボ社長で法政大学教授の渡邊嘉二郎氏、プロゴルファーの江連忠氏、ゴルフダイジェストらと共同で研究を進め、同エンジンを応用したiアプリ「ETGAスウィングレッスン」を開発した。

携帯電話センサー技術で実現を目指す領域(左)と3Dモーションセンシングエンジンの特徴

 開発の狙いについて富士通常務の佐相秀幸氏は、「将来の情報化社会は人間の行動が重要になると考えており、センシング技術とクラウドコンピューティング技術がリアルタイムに連係する基盤を追求している」と話した。

 エンジンの開発では、ゴルフのスイング動作のポイントになるという腰の回転量や向きを連続して抽出し、立体的に解析するようにした。渡邊氏は「静止状態の物体を高精度に測定するケースとは異なり、人体の動きを測定するにはセンサーの取り付け方が多少あいまいでもデータが正確でなければならず、苦労も多かった。検証段階では意外にも多くの情報を抽出できることが分かり、情報を取捨選択してゴルファーに参考になるものを選んだ」と開発のエピソードを紹介した。

 渡邊氏によれば、同様の機能を専用のハードやソフトで実現しようとすると端末の価格は数十万円になるという。「これだけの機能を携帯電話に集約できたのは画期的なこと」(同氏)。

測定時は端末を腰に装着する(左)と測定結果

 ETGAスウィングレッスンの開発では、女子プロゴルファーの諸見里しのぶ選手などを指導する江連氏が最適なゴルフスイングのノウハウを提供。3Dモーションセンシングエンジンによって解析したユーザーのスイングフォームを16の診断ポイントに照らして評価し、江連氏のアドバイスを確認できる。

 同アプリケーションでは過去のスイングフォームも記録できるため、ユーザーのベストショットとの比較ができるほか、リズムに合わせて理想的なフォームを練習できる機能も搭載した。江連氏は「特にアマチュアであればスウイングフォームの劇的な改善効果を期待できるだろう」と話した。

 開発の意義について佐相氏は、「センサー情報のデータから特徴を抽出し、意味のあるものにするという情報処理技術本来の目的を具現化した一つの例になる」と話した。

 富士通モバイルフォン事業部長の大谷信雄氏は、ETGAスウィングレッスンの提供時期について「なるべく早くやりたり」と述べて明言を避けたが、今秋冬モデル以降のNTTドコモ向け端末にプリインストールして提供する見込み。また、会員向けサービスなどのコンテンツ開発をゴルフダイジェストと共同で進めるとしている。

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