国内におけるウィジェット活用は、CGM(ユーザー参加型メディア)を駆使した口コミプロモーションに注目が集まったこともあり、SNSやブログ上で展開できる「Web張り付け型」が主流となった。中でも代表的なウィジェットがブログパーツだ。個人ブログとも連携でき、ブロガーやWebの利用者にも幅広く普及している。企業のマーケティングにおいても、多数の成功事例が存在するのがブログパーツだ。
ここでブログパーツの提供数、利用者数の推移を見てみよう。ブログパーツ関連の情報を集めたポータルサイト「ブログパーツ.com」を運営するアイオイクスの発表(図5)によると、ブログパーツの利用者数やページビューは2007年の10月ごろに急激な伸びを見せ、月間の利用者数が10万人、ページビューが100万を超えた。2008年末には、15万ユーザー/150万ページビューまで数字を伸ばしており、現在も堅調に実績を維持している。
ブログパーツ.comに登録されたブログパーツの数は、2007年1〜3月にかけて170件だった。その内企業が提供しているブログパーツや約3割。つまり月間約20個のブログパーツが企業から提供されていた試算になる。2008年10〜12月には新規登録数は329件に上り、企業のブログパーツはその内の9割を占めた。企業によるブログパーツの提供は2年で約5倍になり、現在は月間約100個が新たに提供されている。数あるウィジェットの中でも、ブログパーツはいち早く普及期を迎えた(図6)。
ブログパーツ市場が拡大した要因は、企業がウィジェットを数多く提供したことにある。作り込まれた良質な「企業ウィジェット」は、ブロガーやWebを利用する人の興味を引いた。このように、利用者と企業の間にある「ブログパーツの需要と供給の均衡」が保たれていることが、同市場の発展を後押ししている。
ウィジェットの拡大の鍵を握っているのは企業である。企業がウィジェットに対して積極的に投資し、さまざまなウィジェットを提供していけば、利用者数のパイも大きくなる。企業がウィジェットをマーケティングツールとして使うためには、企業側が率先して市場の拡大を推し進めていくことが求められる。
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2001年にソニーに入社。2005年に社内の有志数人で「新しいネットメディアの開発」をコンセプトに、ウィジェットサービス「FLO:Q(フローク)」プロジェクトを発足。現在、サービス全体で約20万人の登録会員を抱えるサービスに育て上げた。最近では新たなウィジェットのプラットフォームとしてmixiを活用した「mixiアプリ」をリリースしている。
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