アナリストらによると、IntelにとってAMDとの和解は、伝統的なPCとサーバの市場以外で自社にとって最も成長の可能性が高いと思える分野に集中できることを意味するという。Intelは、Netbook、家電、携帯端末、グラフィックスなどの分野に事業を拡大したいという願望を隠してはいない。
「5年後には、サーバとPC用のプロセッサ以外の製品がIntelの売り上げの98%を占めるようになるだろう」とスプーナー氏は予想する。
J. Gold Associatesのアナリスト、ジャック・ゴールド氏によると、最近のIntelの最大の関心事はAMDではなく、モバイル分野を支配しているARMとそのライセンシー各社(Qualcomm、Texas Instruments、Freescale Semiconductorなど)だという。
「PCとサーバ用のチップは今日、Intelの稼ぎ頭だが、今後数年間で生産されるコンシューマー向けのインテリジェント型パーソナルコンピューティングデバイスの数が、従来のPC市場の製品の数をはるかに上回ることを同社は正しく理解している」とゴールド氏は報告書で述べている。「スマートフォン、Netbook、モバイルインターネットデバイス、ホームエンターテインメント、インテリジェント家電、パーソナルエンターテインメント、インテリジェント電源装置、インテリジェント自動車など無数のデバイスがインターネットに接続されているが、これらは現在、Intelと同社のx86アーキテクチャの領土ではない」
ゴールド氏によると、この状況はIntelにとってリスクであり、同社がAtomプラットフォームに莫大な資金と労力を投入しているのもそのためだという。
だがIntelが未来に深く足を踏み入れる前に、同社のビジネス手法をめぐるほかの法的問題に対処する必要がある。Intelは、欧州委員会が5月に同社に科した14億5000万ドルの制裁金に対して控訴しているのに加え、ニューヨーク州が起こした訴訟にも対応しなければならない。
アナリストらは、米連邦取引委員会もIntelを提訴すると予想していたが、AMDとの和解の結果、同社はこの訴訟を避けることができそうだ。
オッテリーニ氏は、AMDとの和解が「規制当局に安堵(あんど)感を与える」ことを期待しているという。Endpointのケイ氏によると、欧州での係争など既存のケースは最後まで行く公算が大きい。しかしニューヨーク州が起こした訴訟など最近のケースについては、AMDとの和解が成立したのに伴い、かなり早期に決着する可能性もあるという。
両社では、価格設定をめぐって未解決の問題がまだ残されているとしている。
今回の和解はAMDの経営健全化にも貢献し、Intelとしてはプロセッサ市場の独占という今後の批判をかわすためにも、AMDの経営が健全であることが必要なのだ。
Intelのビジネス手法を批判してきた米Computer and Communications Industry Association(CCIA)も和解を歓迎している。
CCIAのエド・ブラック会長兼CEOは「Intelが不正行為を明確に認めなかったのは残念だが、同社がほかにも継続中の訴訟を抱えているために仕方がなかったのだろう。しかし公表された事実と和解の規模を見れば、不正行為があったのは疑問の余地がない」と発表文で述べている。「この和解が、Intelが市場における自社のパワーではなく自社製品のメリットにフォーカスし、その部分で競争するという確約を意味するものであることを期待する」
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