ウィジェットを駆使したマーケティング活動で成功をもたらすには、コンテンツの作り込みだけでなく、使ってもらいたい利用者にどのようにウィジェットを届けるかまでを、戦略的に設計することが不可欠だ。
木を見て森を見ずという状態に陥らない――。ウィジェットマーケティングの実践においてまず注意すべきことだ。ウィジェットの具体的な機能などを作り込むことも重要だが、これはウィジェットマーケティングを構成する1つの要素にすぎない。マーケティングを成功に導くには、ウィジェットの機能やコンテンツ、それを配布する方法などに注意を払うことが求められる。
ポイントは、マーケティングの基本ともいわれる「PDCAサイクル」を回すことだ。だがウィジェットは、CGM(ユーザー参加型メディア)などで利用者と直接情報をやりとりできる特性を持つ。ウィジェットをマーケティングに生かす場合は、この特性を踏まえた上でSEOなどの一般的なWebマーケティングとは異なる展開を考える必要がある。
そこでPDCAサイクルを独自に表現した「DPOCサイクル」を考えてみたい。ウィジェットマーケティングの構成要素は「Design(初期設計)」「Plan(コンテンツ・機能)」「Operation(サービス運用)」「Check(効果測定)」であり、この手順を踏んでマーケティング活動を展開していくことが成功の秘訣だ。
初期段階ではウィジェットの特性を念頭においた上で、「どういった顧客とどのようなスタイルでつながりたいか」を定義しておくことが重要だ。その際に必要な項目は、1.ターゲットユーザー、2.目指す効果、3.プラットフォームの選択、4.提供期間の4つである。
1.はウィジェットを届けたい対象である。2.は商品やサービスの認知度の拡大や企業サイトへの誘導などの目標値を設定することだ。これらを明確にしておくことで、ウィジェットを配信する3.プラットフォームが選びやすくなる。実施するマーケティングの期間が2〜3カ月の短期か、1年を視野に入れた中期かといった4.提供期間も決め、効果をどの程度持続させる必要があるのかを洗い出しておくことも不可欠だ。
個人ユーザーには、ウィジェットを利用する一定のモチベーションと環境を与える必要がある。ここで重要なのは、利用者側の視点で「ウィジェットで何ができるか」を突き詰めることである。これを決めるのは、ウィジェットの核であるコンテンツの内容や機能である。これを検討するには、以下の4つの項目をバランスよく組み込むことが重要だ。
ウィジェットの核となるコンテンツを作るに当たり、企業のマーケティング担当者から「自社には肝心のコンテンツを作る題材がない」と相談を受けることも多い。だが、これは誤解である。上記のフロー図はコンテンツ提供までの道筋を記載しているが、コンテンツは自社で用意しなくてもいいのである。
もちろん、自社でコンテンツを用意するにこしたことはないが、初期設計で掲げた対象ユーザーに基づき、ウィジェットとして必要な要素がそろっているのであれば、すべてを他社から調達しても問題はない。これは、Webサイトやメールマガジンなど既存のWebマーケティングとはまったく異なるウィジェット独特の特性である。利用者が思わず使いたくなるような魅力的なコンテンツを提供することは、その人に企業の情報を届けるタッチポイントを作ることに等しく、ウィジェットマーケティングの王道でもあるのだ。
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