TechCrunchのイベントにパネリストとして登壇した3社の幹部は、foursquareがロケーション分野の勝者なのかという質問に対し、戦いは緒に就いたばかりであると強調した。
「foursquareは、ロケーションベースのソーシャルサービスをめぐる新たな戦いを制したわけではない」――ニューヨークで開催された「TechCrunch Disrupt」イベントにおいて、米Google、米Facebookおよび米foursquareの幹部はこう強調した。
TechCrunchの記者マイケル・アーリントン氏は、Googleの技術担当副社長ビック・ガンドトラ氏、Facebookの製品管理担当副社長クリス・コックス氏、foursquareのデニス・クローリーCEOに対し、foursquareのソーシャルチェックインサービスはロケーションベースのサービスをめぐる戦いを制したのか、と質問を投げ掛けた。
「彼らはロケーション分野のYouTubeなのか」とアーリントン氏は付け加えた。これは、Googleが所有する資産がユーザー作成動画の分野で圧倒的な地位にあることを認めたものでもある。
友人検索アプリケーションの「Google Latitude」とモバイルソーシャルアプリケーションの「Google Buzz」を提供しているGoogleのガンドトラ氏は、ロケーションベースサービス市場には多数のプレイヤーが登場するだろうと語った。
「foursquareは素晴らしいサービスを開発し、チェックイン(位置情報登録)機能でエキサイティングなことができることを示したが、この市場はまだ非常に若い」とガンドトラ氏は述べた。「来年にはさまざまな企業から多くの発表があると思う。それはコンシューマーにとって良いことだ」
例えばGoogleは先週、開発者がGoogleのロケーションデータベースを利用したアプリケーションを作成するための「Google Latitude API」を発表した。同社では、300万人余りのLatitudeユーザー向けに、家電機器の管理、高速道路情報の確認、クレジットカード不正使用の警告といった機能を提供するアプリケーションを開発者たちが手掛けることを期待している。
ガンドトラ氏によると、Googleは今年、Latitudeにエキサイティングな機能強化を施し、この技術の「人気をさらに高める」つもりだという。
Googleは2月に、モバイルアプリケーション向けのGoogle Buzzを発表した。スマートフォンユーザーがBuzzに投稿したコメントには、ユーザーの場所と投稿時間に基づくタグが付けられる。アーリントン氏が指摘するように、これは一種のチェックイン機能のようなものだ(ただしGoogleはそう呼んではいない)。
Buzzではプライバシー問題も起きたが、そのモバイルアプリはチェックイン機能を備えていないとはいえ、Googleがfoursquareと競争する上で最も有力なプログラムだ。Google LatitudeとGoogle Buzzは、いずれ統合される可能性が高い。
アーリントン氏の質問に対してコックス氏は、ロケーションサービスは誰か1人が勝者になり、残り全員が敗者になるような分野ではないと述べた。そして「これはさまざまなエクスペリエンスの一部になるような機能だ」と付け加えた。
伝えられるところによると、Facebookは今月、ロケーションベースのステータス更新機能を自社のユーザー向けに提供する予定だ。同社では、ファストフードチェーンのMcDonaldと共同でアプリケーションを開発中だともいわれている。このアプリケーションは、ユーザーがMcDonaldの店でチェックインすると、その店のお勧め商品が投稿に追加されるというものだ。
foursquareのクローリー氏も、ロケーションベースサービスの市場には明確な勝者が存在しないことを認めた。同氏はDodgeball在籍中にfoursquareの初期バージョンを同社に売却し、GoogleによるDodgeball買収後にDodgeballを去った。
「われわれは素晴らしいものを作っている」とクローリー氏は語った。「だがわれわれが勝者だとは思っていない。まだこの市場は非常に若い。2年前を振り返れば、何も面白い動きがなかった」
さらに同氏によると、foursquareのチェックイン投稿ページに評価・採点機能とゲーム要素を取り入れたことにより、このスペースがより面白いものになったという。foursquareでは1日当たり70万件以上のチェックインがあり、100万人のユーザーの35%がこのアプリケーションを毎日使っている。
foursquareは、PepsiCo、Starbucks、Bravo、MTVなどの企業と提携している。例えば、foursquareのユーザーがStarbucksの店で5回チェックインすると「バリスタバッジ」がもらえる。
パネリストらの回答は当たり障りのないものだった。現実には、より多くのユーザーを獲得するために、そしてロケーションサービスを利用しようと考える広告パートナーを奪い合うために、各社の間で死闘が繰り広げられている。
ガンドトラ氏は先週の「Google I/O」カンファレンスでAppleに対して大胆な発言をして注目を集めたが、奇妙なことに、アーリントン氏はこの件についてガンドトラ氏に説明を求めなかった。
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