国内IT市場、3年ぶりのプラス成長に

IDC Japanの調査で、2010年における国内IT市場の前年比成長率が3年ぶりにプラス成長に転じることが分かった。ハードウェア、パッケージソフトウェア、ITサービス市場の動向も調査した。

» 2010年07月21日 13時05分 公開
[藤村能光,ITmedia]

 調査会社IDC Japanは7月20日、2010年第1四半期(1〜3月)における国内の製品別IT市場予測を発表した。

 同社によると、2010年の国内IT市場規模は12兆3530億円、前年比成長率は0.5%になる。2009年の前年比成長率のマイナス11.1%から大幅に改善し、3年ぶりのプラス成長になる見通しだ。景気回復に伴い2011年以降もプラス成長が継続し、2009〜2014年の年間平均成長率はプラス0.3%で推移。2014年の市場規模は12兆4618億円になると予測している。

国内IT市場の投資額予測:2009年〜2012年 国内IT市場の投資額予測:2009年〜2012年(出典:IDC Japan)

景気回復がIT市場の回復をけん引

 IDC Japanは、国内IT市場を構成する「ハードウェア市場」「パッケージソフトウェア市場」「ITサービス市場」の市場規模も調査した。

単価下落の影響を受けるハードウェア市場

 2010年のハードウェア市場の規模は5兆1892億円(前年比成長率2.3%)となり、3年ぶりのプラス成長になる見通しだ。IDC Japanは、クラウドサービスに関連するハードウェアやWindows 7の登場によるPCの需要拡大、情報サービス企業によるx86サーバへの積極的な投資が、同市場の成長をもたらすと考察している。

 2011年以降はハードウェアの単価が下落し、企業の需要が低単価の製品にシフトするため、ハードウェア市場は再びマイナス成長に転じる見通しだ。2009年〜2014年の年間平均成長率はマイナス2.2%で推移し、2014年の市場規模は4兆5449億円になるとIDC Japanは予測している。

順調に拡大するパッケージソフトウェア市場

 2010年のパッケージソフトウェア市場は2兆2075億円(前年比成長率0.6%)になる見通しだ。景気の回復に伴い、延期されていたサーバやPCの入れ換えが進むほか、オフィススイート、データベース、ERM(エンタープライズリスクマネジメント)、ビジネスインテリジェンス、OS、仮想化ソフトウェアの需要が活性化するとしている。

 今後は国際会計基準(IFRS)への対応、データ活用のニーズ、クラウドコンピューティングの普及などにより、ERM、ビジネスインテリジェンス、仮想化ソフトウェアの需要が拡大する傾向にある。2009〜2014年のパッケージソフトウェア市場の年間平均成長率はプラス2.2%となり、2014年の市場規模は2兆4429億円になる見通しだ。

SIの需要がけん引するITサービス市場

 2010年のITサービス市場は4兆9563億円(前年比成長率マイナス1.3%)になる見通しだ。アウトソーシング関連のITサービスは堅調だが、システム構築の需要が回復しておらず、全体では同市場がマイナス成長になる。

 IDC Japanは、企業のIT投資が回復する2011年以降にITサービス市場がプラス成長に転じると予測する。プライベートクラウドの構築、サプライチェーンマネジメントの再構築、IFRS対応、ビジネスインテリジェンスへの投資、スマートグリッド/スマートシティの実現に向けたシステム構築案件が増え、市場拡大に寄与する。同社はITサービス市場の2009〜2014年の年間平均成長率がプラス1.7%となり、2014年の市場規模は5兆4741億円に上ると予測している。


 同レポートでは、国内IT市場の2009年実績値および2010〜2014年の市場規模予測と市場動向分析をまとめている。ITサービス、パッケージソフトウェア、サーバ、クライアント、ストレージ、周辺機器、ネットワーク機器などのハードウェア、通信サービスを調査対象としている。



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