VMwareが「Project Horizon」構想の下、デスクトップからSaaSやモバイルなど多様なアプリケーションへの安全でダイレクトなアクセスを提供するための新たな製品群を発表した。
仮想デスクトップの導入あるいはその計画が多くの企業の間で進んでいるのは間違いなさそうだ。帯域の拡大と新しい効率的なインフラによって仮想デスクトップのパフォーマンスが向上する一方で、ユーザーはデスクトップにクライアントを配信する方式の面倒なライセンス・運用モデルで苦労しているようだ。
こういった状況の中、米VMwareは今後も仮想デスクトップ普及のトレンドをリードする構えだ。
世界最大の仮想化ソフトウェアメーカーであるVMwareは8月31日、サンフランシスコで開催中の「VMworld 2010」において、「Project Horizon」構想に基づく新しい製品とサービスを発表した。これらは、企業ユーザーがレガシー型デスクトップコンピューティング環境を「より現代的でユーザー中心のアプリケーションとデータの配信モデル」に移行するのを支援するという。
VMwareでエンタープライズデスクトップソリューション部門の製品マーケティングディレクターを務めるラージ・マレンパティ氏は「これらの製品の最大のポイントは、VDI(仮想デスクトップインフラ)とアプリケーションへのオフラインアクセスを同時に実現できるということだ。従来はこういったことは不可能だった」と米eWEEKに語った。
「最新のOSではサポートされていないけれども、まだ利用価値があるというようなレガシーアプリケーションを使い続けられるのも大きな魅力だ」とマレンパティ氏は言う。
VMwareが発表した新製品ラインアップは以下の通りだ。
従来バージョンはVDI専用のソフトウェアだった。バージョン4.5では最大で数千ユーザーの仮想デスクトップシステムを管理できるだけでなく、ユーザーのPC上にある通常のローカルアプリケーションも管理できる。VDI環境はPC上で別ウィンドウとして見える。重要なポイントは、この製品はクラウドサービスのインスタンスを扱うのではないということだ。
この製品は、次世代のデスクトップ環境内の特定のユーザーへのアプリケーション配信をサポートする。
「例えば、Windows 7を利用していない一部のユーザーのために、今でも広く利用されているInternet Explorer 6(IE6)などの古いアプリケーションを独立した仮想マシン(VM)上で仮想化して実行できる」とマレンパティ氏は説明する。「ThinApp 4.6では、IE6を使っているユーザーをWindows 7に移行させる方法も用意されている」
このインフラミドルウェアは、仮想アプリケーションフレームワークと各種サービスを組み合わせることにより、アプリケーションの高速化とインフラリソースの可搬化を実現する。
この製品は、ハイブリッドクラウドとパブリッククラウドの両方を通じてITサービスを作成および利用するための一元的な手段を提供する。「ITマネジャーはこれにより、ハイブリッドクラウドとパブリッククラウドを通じてサービスをプロビジョニングすることが可能になる」とマレンパティ氏は話す。
クラウドのセキュリティ問題に対処する3つの新製品で構成される。vShieldの詳細についてはこちらの記事を参照していただきたい。vShieldはVMwareの幾つかの製品で利用されている。
上記の新しい仮想デスクトップソフトウェアにはすべて、専門のサービスプロバイダーから提供される安全で相互運用性のあるエンタープライズクラスのハイブリッドクラウドをユーザーがセットアップ・運用するのを支援するVMwareサービスが付属する。これらのサービスは、米Verizon、米Terremark、米Bluelock、英Colt、シンガポールのSingTelといった大手プロバイダーから提供される。
VMwareによると、これらのサービスに死角はなく、VMwareの認証、監査可能なセキュリティコントロール、SAS 70 Type IIあるいはISO 27001認証、仮想アプリケーションのセキュリティ(ステートフルファイアウォール、レイヤー2ネットワーク隔離など、ロールベースのアクセス制御、LDAPディレクトリ認証など)を備えるという。
米Enterprise Strategy Groupの上席アナリスト、マーク・バウカー氏は「VMwareの統一的なデスクトップ戦略は、端末の種類や場所にかかわらず、SaaS(サービスとしてのソフトウェア)、レガシー、モバイルなど多くのタイプのアプリケーションへの安全でダイレクトなアクセスを提供するだろう」と話す。
「VMwareは、デスクトップとアプリケーションの配信サービスを変革し、IT部門による管理を維持するとともに、生産性を高めるパーソナライズされた環境をエンドユーザーに提供するのを支援する能力を持っている。Project Horizonはその一例だ」(バウカー氏)
VMworld 2010の詳細はVMwareのサイトにある。同カンファレンスは9月2日までモスコーニセンターで開催される。8月31日時点での登録入場者数は1万7000人余りだ。
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