OracleのエリソンCEO、HPによるアポテカー氏指名を批判「開いた口がふさがらない」

SAPで長年Oracleと戦ってきたアポテカー氏と元Oracle幹部のレイ・レーン氏のCEO・会長コンビは「Oracleとの戦い方を知っている最強のブレーンだ」と見る向きもある。

» 2010年10月05日 12時29分 公開
[Nicholas Kolakowski,eWEEK]
eWEEK

 米Hewlett-Packard(HP)が先ごろレオ・アポテカー氏を新CEOに指名したことに対して、米Oracleのラリー・エリソンCEOがあからさまに批判している。同氏の辛らつな言葉は、対立が深まるHPとOracleの関係を浮き彫りにしているようだ。

 「開いた口がふさがらない」――エリソン氏はWall Street Journalに送った電子メールでこのように述べたと伝えられている。この記事は10月1日に同紙に掲載された。「HPには有力なCEO候補者が社内に何人かいた。にもかかわらず、独SAPの経営にしくじったことで最近解雇された人物を選んだのだ」

 エリソン氏はReutersにも同じ書面を電子メールで先週末に送付したらしい。同氏はその中で、「アポテカー氏の在職中、SAPは知的財産泥棒だった」と表現した。「SAPは既に、長期間にわたって知的財産を組織的に盗用したことに対する賠償責任を認め、それを受け入れると公表した」とエリソン氏が述べたとReutersは伝えている。「この産業スパイ行為と知的財産盗用の大半は、レオがSAPのCEOだったときに行われたものだ」

 HPは基本的に、エリソン氏の批判をめぐる報道に対するコメントを控えている。同社は9月30日(現地時間)、マーク・ハード氏の後任CEOとしてアポテカー氏を指名した。ハード氏はスキャンダルが原因でHPのCEOを辞職したが、その後すぐにOracleの共同社長として迎え入れられた

 「わたしのグローバルな経験をHPで生かしたい」とアポテカー氏は10月1日(現地時間)の報道関係者とアナリスト向けの電話会見で語った。「HPはグローバルな企業であり、わたしの長所の1つはグローバル市民であるということだ」。さらに同氏は「ITスタックのあらゆる部分」に向けたHPのフォーカスを拡大する方針も明らかにした。

 アポテカー氏の指名を機に、同氏のCEOとしての功罪をめぐってネット上で激しい論争に火がついた。一部の専門家の間では、コンシューマー製品に関する同氏の知識不足を指摘する声もあるが、SAPで20年間の経験を積んだ同氏はエンタープライズソフトウェアをよく知っているというのが大方の意見だ。

 その知識は、エンタープライズIT市場のシェアをめぐってHPがOracleと競争する上で有利に働きそうだ。最近、HPの会長に指名されたOracleの元COO(最高執行責任者)兼社長のレイ・レーン氏とアポテカー氏とのコンビは、「Oracleとの戦い方を知っており、それを首尾よく遂行できる企業を築き上げることができる最強のブレーンだ」と米Enderle Groupの主席アナリストロブ・エンダール氏は10月1日付の米eWEEKへの電子メールに記している。

 HPが成長エンジンとしてソフトウェアへの注力を強化するのは間違いなさそうだ。「HPは各部門の連係によって大きな力を発揮する」とアポテカー氏は電話会見で語った。「その連係を実現する接着剤の役割を果たすのがソフトウェアだと考えている」。Oracleの場合も、企業顧客に総合的なスタックを提供する計画の要となるのがソフトウェアだ。

 要するに、HPがアポテカー氏を迎え入れたのは、Oracleがハード氏を採用したのと同様の意思表明なのだ。両社とも、これから始まる本当の死闘に向けた態勢を整えようとしているのだ。

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