フリーアドレス制が変えたワークスタイル日本マイクロソフト品川オフィス探訪(前)(3/3 ページ)

» 2012年05月15日 11時30分 公開
[米野宏明,ITmedia]
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フリーアドレスはワークスタイル変革を促進する

旧本社オフィスフロア パーテーションとオーバーヘッドロッカーによって各席の視界が遮られ、誰がいるのか分からない。頭上に段ボールを置いていた人も多く、空気が循環しなくなって南側の席は夏場暑かった

 フリーアドレスの効果は、コスト削減だけではありません。従業員のワークスタイルに対する意識にも影響を与えます。

 日本マイクロソフトでは、営業部門の多くでフリーアドレス制を採用しています。フロアの階数と方角でおおまかに場所が決められてはいるものの、厳密な境界線はなく、別の場所に座ったからといってとがめられることもありません。ただし部門管理者は固定席が割り当てられ、フリーアドレススペースとは別の場所に集められています。つまり部門管理者とメンバーは基本的に離れた場所に座るのです。

 旧本社時代は部署ごとに机の島を作り、島の端に座る部門管理者の視線の方向にメンバーが向い合せで並んで座る、というよくあるレイアウトでした。各人のデスクはパーテーションで囲まれ、頭上にはオーバーヘッドロッカーがありましたので、コミュニケーションの範囲が非常に近いグループ内に限られがちでした。しかも物理的には近い場所にいるので、電話やチャットでコミュニケーション不足を補おうという気持ちにはなかなかなれませんでした。

旧本社デスク(引っ越し直前時)

 現在のフリーアドレス制は席間にパーテーションがなく、周りの人との会話が非常にしやすくなりました。会話があるといっても作業に集中できないほど騒々しくなるわけではありませんが、必要がある場合は共有スペースにちょっと移動すればいいだけです。生産性が下がらないようなICTも用意されています。

 以前は、ちょっとでも離れた席にいる同僚と話をする場合、その人のパーテーションまで出向き、立ったまま、周りに迷惑がかからないように遠慮がちに話すしかありませんでした。今は、自分のノートPCを携えてその人の隣の空いている席に座るなり、最寄りの Hub スペースなどに移動するなりして気軽にすばやく話ができます。

 なんとなく話しかけにくいとか、上司が近くにいるからなんとなく帰りにくいなどということもありません。デスクに私物を残せないため、身軽になることを心掛けるようになります。印刷物は削減され、オフィス業務がノートPC1台で済ませられるように変わってきました。従業員がモビリティの価値を身近に感じ、自然とモビリティに適した行動をとるようになってきた結果、場所と時間の使い方の効率が向上したのです。


 次回は、モバイル環境下でも生産性を維持するためにわれわれが導入しているテクノロジーについて紹介しましょう。

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