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» 2012年06月13日 08時00分 公開

全世界で稼働する11万台超の製品をリアルタイム監視 日立建機が築いた情報基盤(2/2 ページ)

[伏見学,ITmedia]
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世界中で同じ水準の地図が利用可能に

 Global e-Serviceの構築にあたり、別の課題があった。それはシステム上で利用する地図データの使い勝手である。従来、地図に関しては、専門会社から購入していたものの、国ごとに仕様がバラバラで、縮尺が数万分の1程度しかなかったり、解像度が低かったり、数十年前のものしかなかったりと、全般的に品質が低く、利用可能な地図を入手することに困難を極めていた。また、「自社で全世界の地図データを持つとなると、その容量が膨大であるため、テラバイトクラスのサーバを用意する必要があり、大きな負担となっていた」と、日立建機 IT推進本部 業務改革推進部長の松田富士夫氏は振り返る。

 そこで日立建機が目をつけたのが、グーグルの地図サービス「Google Maps API for Business」である。グローバルで標準化された地図を提供していることや、常にほぼ最新の情報にアクセスできること、自社で運用する必要がないこと、使い慣れたインタフェースでありユーザーを教育する必要がないことなどに魅力を感じたという。さらに、Google Maps API for BusinessはAPIを提供しているため、Global e-Serviceのシステムに容易に組み込むことも可能である。そこで2007年秋に検討を始めて、2008年には正式にGoogle Maps API for Businessを導入した。

「従来と比べて、地図そのものの購入費用はもちろんだが、運用の手間やそれにかかわる人件費などの削減に対するメリットが大きかった」(松田氏)

 具体的な効果の1つに、建機の巡回サービスの効率化が挙げられる。これまでのシステムでは、地図と建機の現在位置情報、製品情報がひも付いていなかったため、例えば、ある工事現場で機械へのサービス作業を終えたサービス員がいた場合、たとえ近くの現場でサービスを必要としていても、その情報を得るには電話などで本部に問い合わせる必要があった。現在のシステムでは、地図上にすべての製品の稼働状況などが一覧表示されるため、現場の作業員はその情報を自ら手に入れ、効率的に建機を巡回できるようになったのである。

「地域ごと、業種ごと、建設機械の種類ごとにデータを分類して地図に表示することも可能なので、例えば、『このエリアではAという製品の稼働率が高い傾向にあるから積極的に営業提案していこう』などと、計画的に仕掛けて受注確度を高める動きを取れるようになった」(松田氏)

クラウド化を検討

右から日立建機 IT推進本部 業務改革推進部長の松田富士夫氏、業務改革推進部 販売業務グループの柴田悦子氏、企画部 戦略推進グループ 主任の今野聡氏 右から日立建機 IT推進本部 業務改革推進部長の松田富士夫氏、業務改革推進部 販売業務グループの柴田悦子氏、企画部 戦略推進グループ 主任の今野聡氏

 昨今、「ビッグデータ」というテーマが注目されているが、Global e-Serviceで大量に収集するデータの活用という点についてはどうか。松田氏によると、データ容量そのものよりも、そのデータからさまざまな切り口で検索したり、その結果を高速に処理したりするためのエンジン技術においてはさらなる工夫が必要だという。

 そこでグループ企業である日立製作所と協力して、オープンソースの大規模分散データ処理システム「Apache Hadoop」などを利用し、実用化を進めている。また、今年8月にはGlobal e-Serviceをクラウド化することも検討しているという。「スピードやパフォーマンスの向上に対するユーザーからの要望は多く、その都度、段階的にシステムをグレードアップしてきた。今後は日立製作所を通じて、その技術やシステムを共有することで、業界に貢献していきたい」と松田氏は力を込めた。

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