富士通が国内自社データセンターを活用し、地域金融機関の勘定系システムをアウトソースするサービスをはじめる。メインフレーム基盤を共有する運用コストの削減、セキュリティと信頼性の強化を図れる点が強み。
富士通は12月8日、地域金融機関に向け、勘定系システムを請け負うサービスの提供を開始した。
従来の各社が個別メインフレーム基盤で運用するシステムに対し、仮想化技術で分割したメインフレーム基盤上で運用する方法を採用。金融機関個別の勘定系システムを富士通が一括して運用を請け負う。「FUJITSU Financial Services Solution FSPS」(以下、FSPS)と「FUJITSU Financial Services Solution FSPS-DR」(以下、FSPS-DR)の2種類を設ける。運用コストの削減と、東日本大震災をふまえた業務継続性を強化したいと考える地方銀行や信用金庫などの地域金融機関へ訴求する。
富士通データセンター内のメインフレーム基盤を仮想化技術で分割し、1つのメインフレーム上に複数の地域金融機関の勘定系システムを稼働させる。ポイントは「金融機関の現メインフレーム基盤利用コストの低減」と「災害リスク対策の強化」。24時間365日、地域金融機関の勘定系システム業務を熟知した担当者が監視と保守を行うことで、セキュリティと信頼性も強化できるとうたう。
FSPSは富士通の国内東西2カ所のデータセンターに、地域金融機関が従来利用しているアプリケーション使ってシステムを構築する。東西のデータセンター間でミラーリングすることで、災害対策への効果も高める。万一、東西どちらかのデータセンターが被災した場合には、他方のミラーシステムへ2時間以内に本番環境を切り替えられるホットスタンバイの仕組みを整えた。
FSPS-DRは、FSPSで提供されるSOA技術の連携基盤などを除き、災害対策用勘定系システムに特化した勘定系システムプラットフォームを提供する。効率化と災害対策用勘定系システムの立ち上げ時間の短縮を図れ、ウォームスタンバイでの災害対策用勘定系システムの保持にも有効。FSPSと同様にアドバンスト・コピー機能を用意し、勘定系元帳データをリアルタイムでバックアップするため、万一時も、数秒程度のデータ消失にとどめられる。
提供時期は「FSPS」が2017年1月から、「FSPS-DR」が2015年9月から。
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