では、どう対応すべきか。NTTぷららが着目したのが「データセンターコスト」である。仮想化によりサーバを集約すれば、物理サーバの数を減らせ、必然的にラックスペースのコストを削減できる。既存の「Sun Fire V240」を「Oracle SPARC T4-1」で置き換えたケースを試算したところ、CPUスレッド数から理論上、既存サーバ100台を新サーバ4台に集約できることが判明し、5年間で累計2億円以上もデータセンターコストを削減できることを突き止めた。
「コスト削減額を提示したことで、コストに厳しい当社でも仮想化導入を納得してもらえました。ともあれ、仮想化の採用にあたっては、説得のシナリオを複数持つことが大切なことを痛感させられましたね」(NTTぷららの嶋寺氏)
これを機に、サーバ仮想化とDB仮想化の両プロジェクトが本格始動した。当初は、両者ともVMwareでの移行が最優先に検討された。
だが、前者は最終的に、Solaris 10で採用されたOSレベルの仮想化機能「Solaris ゾーン」での移行に落ち着いた。VMware+RHELを採用した場合と比べ、SolarisゾーンはOS・仮想化のライセンスがハードウェアに含まれ、Oracle Databaseライセンスを節約可能であることから、同社試算で仮想サーバ1台あたり4〜5割ほど安価に整備できたからだ。ライセンス費用と物理サーバ1台あたりの統合率の高さが寄与しつつ、同社設立以来Solarisサーバを使い続け、扱いに慣れていたこともこの判断の追い風となった。
また、DB仮想化でも、オラクルのSPARC Tシリーズ向け仮想化機能「Oracle VM Server for SPARC」でのDB統合を選択した。理由は次の3つという。
移行後のシステムでは、従来SolarisやLinux上で稼働していたユーザー認証や課金用の4つの基幹DBが、SPARC T5-2上の各仮想サーバで稼働している。冗長性の確保のため、2台のSPARC T5-2によるOracle RACでのクラスタリングも実施する。また、Solaris11 x86による共有SANストレージへのOSイメージの統合バックアップ環境も整備している。
Solarisによる仮想化は、OracleDBのライセンスコスト削減の点でも極めて有益なようだ。その課金方法は、物理CPUのすべてに課金する方法と、割り当てたCPUのみに課金する方法に分類されるが、Solarisで採用されるのは主に後者だ。そのため、各DBで利用するCPUを固定し、より能力が必要な場合には改めてCPUを割り当てて、その都度ライセンス料を支払う方法で的確に運用すれば、トータルのライセンスコストを前者より格段に抑えられることになる。
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