観客増の切り札誕生!? プロ野球初のハッカソンに行ってきた(3/4 ページ)

» 2015年06月30日 09時00分 公開
[池田憲弘ITmedia]

球界初の“ハッカソン”を開催した理由

photo パシフィックリーグマーケティング 執行役員の根岸友喜氏。今回のイベントの仕掛け人だ

 野球とハッカソン、一見つながりが薄そうな両者をつないだイベントはどのようにして行われたのか。PLMで執行役員を務める根岸友喜氏は「2月ぐらいにハッカソンの存在を知り、すぐにやろうと決めました」と話す。

 根岸氏は4年前から、PC/スマートフォン向けのVODサービス「パ・リーグTV」を展開するなど、ITを使って野球をどう盛り上げていくかを常に考え続けてきた。「さまざまな施策が考えられる中で、コスト削減と売り上げ増、そして露出増といった要件を満たすのはデジタルしかないと考えました。アメリカの事例を参考に、これからは動画が盛り上がると思ってパ・リーグTVを始めたのです」(根岸氏)

 当初は2万人程度だったパ・リーグTVのユーザー数も、現在は6万人を超えるまでになった。しかし日本全体にいるであろう、潜在的な野球ファンにリーチできているとは言い難い。そんなときに共同でサービスを開発していた、富士通の小口淳氏からハッカソンのアイデアを聞いたという。

photo PC/スマートフォン向けのVODサービス「パ・リーグTV」

 「端的に言うと、私たちコンテンツ提供者からは見えない魅力を発見できるのではないかと思いました。コアではないユーザーがどういったモノを求めているのか、そしてデジタルと野球を組み合わせてどんな面白いことができるのか。ITの専門家ではない私たちは、そう簡単には思い付けません」(根岸氏)

 イベントの告知方法も工夫した。野球好きな人間を集めるのではなく、ITに詳しい人を集めるためにあえて自社では告知しなかったという。結果として、44人のうち半分くらいは特に野球に興味がない人が集まった。彼らのモチベーションは新しいことをしたい、何か面白そうだったからなどとさまざまだ。

 ハッカソンを通じ、参加者から新たな考え方を得られたという根岸氏。「イベント前はどんなアウトプットになるか想像がつきませんでしたが、非常にクオリティが高く、この1年で2、3のアイデアは実現できると思いました。今の時代はITを使い、違う形でゲームを楽しむことができるのだと、あらためて気付かされました」という。

 今回の盛況ぶりから、次回開催への期待も高まっているそうだ。「今後の調整次第ですが、ぜひ2回目もやりたいと思っています。プロ野球はどうしても守りに入っていると見られがちですが、新しいファンを増やすという目標に向かって、引き続きまじめに向き合っていきたいですね」と手応えを語った。

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