オラクルがデータベース製品の最新版「Oracle Database 12c Release 2」のベータ版を発表。クラウド展開の俊敏性と拡張性を向上させる、数百に渡る新たな機能を盛りこむようだ。
米Oracleが10月26日(現地時間)からカリフォルニア州サンフランシスコで開催中の年次カンファレンス「Oracle OpenWorld 2015」において、同社はデータベース製品の新バージョン「Oracle Database 12c Release 2(12.2)」のベータ版を発表した。
マルチテナントアーキテクチャとデュアルフォーマットのインメモリデータベース技術を取り入れ、クラウド展開や管理、リアルタイムアナリティクス、ビッグデータ分野での活用も進む「Oracle Database 12c(12.1)」(2013年6月リリース)。新バージョンの12c Release 2は、これらの機能の進化や強化を中心に数百の新機能を盛りこみ、これまで以上にクラウドへの移行を簡素化できるとする。
Oracle Database 12c Release 2で注目される強化機能は以下の通り。10月26日に行われたデータベースに関するゼネラルセッションでOracle データベースサーバ技術担当 エグゼクティブバイスプレジデントのアンドリュー・メンデルソン氏が説明した。
サーバ、データセンター、Oracle Cloud間におけるプラガブルデータベース(PDB)のオンラインでの移動(PDB Hot Clone)を含む機能を強化するほか、ビッグデータアナリティクスの対応として「Database In-Memory」機能の強化と「Spatial」のパフォーマンスを改善した。
そのほか、あらゆる主要なプログラミング言語(node.js、python、PHP、.Netなど)やフレームワークのドライバーの強化も図っている。


コンテナ機能をアップグレード。コンテナ当たりのPDB(プラガブルデータベース)数の最大値を252から「4096」に増加し、さらにクローニング時のダウンタイムを極力減らすPDBのHot Clone/Refresh/Relocateも強化する

Database In-Memoryのさらなる強化とともに、同日に発表されたデータベース処理特化型プロセッサ「SPARC M7」への最適化も図る。SQLのパフォーマンス向上に加え、プロセッサベースでセキュリティ性も高める「Oracle Database 12c Release 2は、クラウド向けデータベースの大きな前進。2014年まで、Oracleのデータベースクラウドサービスはどちらかというと“スタートアップ”の段階で、当時、クラウドを使っている顧客は100社に満たない状況だった。しかし2015年10月現在、数千社の顧客がデータベースクラウドを使うようになった。これは、パブリッククラウドでエントリーレベルラックから、開発者向け、エンタープライズ向けサービスまで、幅広い製品をすで提供しているからだ。ビッグデータ解析を始めとするとても大きな負荷を要するものも、最近リリースしたExadata Cloudサービスとしてクラウドで使っていただける。対して、競合は主に開発者向けのものしか出していない。この意味で、競合よりはるかに先に行っていると自信がある」(アンドリュー・メンデルソン氏)
クラウド事業好調、「SAPは“どうでもよくなった"」 ラリー・エリソンCTO
異次元のEngineered Systemsがインメモリの恩恵をすべてのアプリに
日本オラクル、Oracle Database 12cの国内提供を開始
データ処理を1000倍以上も高速化、インメモリDBを発売 日本オラクル
“攻めのIT”には何が必要か 「HCMクラウド事業」を推進するオラクルの意図
日本オラクル、クラウド推進の「POCO」戦略を発表
SaaSに注力――オラクル ラリー・エリソンCTO講演発言の意図を読む
オラクル、“日本版”PaaS開始 国内DCも年内設置へ
「Do, Big, Different」 DBトップベンダーが示すクラウドの真の価値――日本オラクル・杉原社長
オラクルの「エンジニアドシステム」が目指すコンピューティングCopyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.