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» 2016年02月19日 00時00分 公開

Watson日本語版が提供開始、5つの産業分野を“狙い撃ち”エコシステム拡大に意欲(2/2 ページ)

[池田憲弘,ITmedia]
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広がるWatsonのエコシステム

 日本語版Watsonの展開で両社が注力しているのがパートナーとの「エコシステム」だ。グローバルでは既に400社以上のパートナーがいるが、日本では2015年10月からパートナーを募集しており、記者会見では、三菱東京UFJ銀行や第一三共など、Watsonの活用を進めるパートナー企業や導入予定企業が自社の取り組みを紹介した。

 中でも三菱東京UFJ銀行は、さまざまな形でWatsonの活用が進んでおり、同日からWatson日本語版を使った、LINE公式アカウントのQ&Aサービスを始めたと発表した。会話に対して近い回答を挙げるシステムだ。「将来的には投資相談サービスや、店舗でロボティクスと組み合わせて他言語や窓口営業時間外のサービスも展開する予定」(三菱東京UFJ銀行 専務取締役の村林聡氏)という。

photophoto 三菱東京UFJ銀行が考えるWatsonアプリケーションの例「eFinancial Planner」(左)。店舗でPepperとWatsonを活用するアイデアもあるという(右)

 同様のアプローチを採用しているのが、ヘルスケアベンチャーのFiNCだ。専用のスマホアプリを通じて食事指導などを行うサービスを展開しているが、アドバイスをする専門家が不足しがちなこともあり、Watsonを使ってサポート体制を充実させようとしている。

 ファッション人工知能アプリ「SENSY」を開発したカラフル・ボードや、技術者派遣事業を行うフォーラムエンジニアリングの2社は、“マッチング”にWatsonを使う考えだ。SENSYは会話のやりとりの中でユーザーの感性とファッションアイテムを、フォーラムエンジニアリングは人材のスキルや会社との相性をデータ化し、マッチングしていくとしている。

 第一三共は膨大なデータの分析にWatsonを使う構えだ。医薬品の研究開発は、薬剤の標的となるタンパク質と化合物を何千通りも組み合わせて試験を行うため、新薬の開発には平均で10年ほどかかり、1000億円ほどの開発費が必要になるといわれている。効果が高く、副作用が少ない組み合わせをWatsonにレコメンドしてもらい、開発に役立てるという。

photo 第一三共はWatsonを製薬開発に活用する予定だ

業界ごとの知見がビジネスの差別化要因に

 日本語版Watsonを企業で導入する場合には、Watson適用時の効果予測、事前の学習トレーニングを経て、SaaSモデルとして提供する。今後、日本IBMは金融、医療、メディア、製造、営業支援といった分野でそれぞれWatsonを使ったビジネスを創出していく構えだ。

 自然言語処理には文書例、いわゆる「コーパス」を作成する必要があるが、各産業分野で事例を作ることで、それぞれの分野で知見(コーパス)がたまっていくことになる。日本IBMでワトソン事業部長を務める吉崎敏文氏は、コーパスについて次のように話す。

 「いずれは業界ごとにたまるナレッジが差別化要因になる。さまざまな企業と一緒にコーパスを作っていきたい。人間も学習するには時間がかかる。Watsonに学習させるのも当然時間がかかるので、導入するならば、早めに着手したほうがいいだろう」(吉崎氏)

photo Watsonを活用して知見がたまることで、それがビジネスの差別化要因になるという
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