インタビュー
» 2018年03月28日 08時00分 公開

【特集】Transborder 〜デジタル変革の旗手たち〜:「年間1000人と会い続けた」――ALSOKのAI活用、立役者はベンチャー出身の“異邦人” (3/4)

[大内孝子,ITmedia]

ハードからアプリケーションへ――転職を重ねたキャリア

 いち早くAIに強い企業を探し出し、パートナーを組んだALSOKだが、老舗の警備会社がベンチャー企業と手を組み、新しいことを始めるのは簡単な話ではない。干場さんがALSOKに入社したのは2010年のことだが、それまではさまざまな企業を渡り歩いてきた。

 「最初は沖電気でLSI設計を、次にルーセント・テクノロジー(現ノキア)に行きました。そこでインターネットが好きになり、インターネット総合研究所へ。IPv6やユビキタスネットワークといったテーマで、各メーカーの新商品企画をコンサルティングで支えていたんです。その後は、通信キャリアのウィルコムに行きました。

 ウィルコムでは、2.5GHz帯の免許を取ってLTEネットワークを作ろうとしていたんです。当時、資金調達も含め、さまざまな大企業を回ってパートナー探しをしていたのですが、ALSOKもその1つでした。仲良くなるうちに、当時のCTOに誘われたんです。これまでの知見も生かせるし、自分が働く会社は自分で決めたいという考えもあり、ALSOKに転職しました」(干場さん)

photo 2015年に発売したALSOKの法人向け警備ロボット「Reborg-Χ」

 ALSOKに入社した後は、大量に購入していた通信回線を安く抑えることで成果を出しつつ、商品サービス企画部として新サービスの開発を始めた。マーケターとしての考え方は、大手がひしめく通信キャリアの世界に参入しようと苦労したウィルコム時代の経験が役に立った。

 「どういう層に向けて、どんな商品を、どの競合と比較して、いくらくらいの値段で出せばいいか――そんなマーケティングの世界では当たり前のことから、商品の企画を立て始めました」(干場さん)

 商品の企画開発も、SIerなどに丸投げするわけではなく、海外企業を探して安く開発するという手法を採った。既存製品と似たデバイスをグローバル展開しているベンチャー企業と組み、開発コストを下げたのだ。「さまざまな企業を経験したことで、多面的な視点を得られた」という干場さん。取引する相手が、ユーザー企業をどう見ているかはすぐに分かるという。

 「沖電気で基礎を培い、インターネット、アプリケーション、ユビキタスと進むと、おのずとマーケティングがついてきます。通信を組み込めばビジネスができる、というわけじゃないですし。通信キャリアのプロに学びつつ、パートナー開拓に取り組んだことで、ビジネス開発についても大分鍛えられたと思います。モノを売り込む相手としては“やりづらい”と思われるでしょうけど(笑)。話は早いですし、仲間みたいな関係性でプロジェクトを進められます」(干場さん)

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