Tableauの利用拡大については、IT部門がユーザーへ積極的に売り込むことはなく、むしろユーザー側から利用を希望するパターンが多かったそうだ。
「ある社員が、Tableauを使える同僚にデータ解析を依頼したところ、翌日に結果が戻ってきて驚いていました。効果を目の当たりにし、自部門でも導入を検討するという形が多かったですね」(吉野氏)
また、ヘビーユーザーに対して、Webトレーニングや個別相談会「Tableau Doctor」への参加など、積極的に学習の機会を与えたのも、利用拡大への原動力となった。ヘビーユーザーたちは自らのニーズや同僚の依頼でテンプレートを作り続けており、現在は1500を超えるテンプレートが出来上がったという。
「“自他ともに認める”Tableauのスペシャリストが数人生まれています。私たちは分析を行わず、ユーザーが必要なデータの準備に注力する立場なので、現場に近い分析のニーズについては、彼らに相談するように勧めています。Tableauの使い方についても、彼らを軸にユーザー同士で情報交換を行っていると聞いています」(吉野氏)
今後は、基幹システムや工場からのデータを分析し、フィードバックできるようなシステムインフラを目指し、機械学習の活用も本格的に進めていくという。あらゆる変化に追従できる「魅せる工場」――これこそが彼らが求めるスマートファクトリーの姿だ。
製造業は現場の力が強く、変革が進みにくいともいわれるが、同社は三菱重工から分社化したことで意思決定のスピード感が上がったという。また、吉野氏が所属するIT戦略グループは、運用管理よりも企画に重きを置いた部門で、ユーザー部門から異動したメンバーが大半を占めている。彼らが現場のニーズを理解しているのも、IT活用が進む要因になっているようだ。
「われわれはユーザーとITの中間にいるポジションだと考えています。メンバーの数も部門が設立した当初からは倍以上に増えました。ユーザーをうまく巻き込み、『彼らの改善活動を手伝っている』という意識で相談に乗ったり、プロジェクトを進めたりしています」(吉野氏)
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