「パターンファイルに登録されていないマルウェアに感染しないか不安だ」「標的型攻撃のような未知の攻撃をどう防げばよいか分からない」──。こうしたセキュリティの課題は、情報システム部門からよく聞かれます。振る舞い検知を導入すれば、プログラムや通信の異常な挙動そのものを分析し、未知の脅威も早期に発見できます。本記事では、その仕組みや導入メリット、注意点、選定基準を解説します。
この記事のポイント
- 振る舞い検知とは: プログラムの動作やネットワーク通信を常時監視し、通常とは異なる挙動を検知してアラートを上げる仕組みです。
- 導入メリット: 挙動の異常性に着目した検知により、未知の脅威への対応力向上と内部不正の早期発見を同時に実現できます。
- システム選定の基準: 検知精度と誤検知率のバランスや、既存セキュリティ製品との連携性を確認することが重要です。おすすめ製品の比較表はこちら。分からなければ「専門家に聞く」手段もあります。
- 主な機能: プロセス・ファイル挙動監視、ネットワーク通信の異常検知、機械学習によるスコアリング、インシデント対応・自動遮断などの機能が搭載されています。
目次
振る舞い検知とは
プログラムの動作やネットワーク通信を常時監視し、通常とは異なる挙動を検知してアラートを上げる仕組みです。既知の脅威をパターン(シグネチャ)と照合する従来型の検知手法とは異なり、挙動そのものの異常性に着目する点が特徴です。
定義と基本機能
振る舞い検知の中核機能は、プロセス監視、通信監視、異常度のスコアリングです。ファイルの暗号化や不審な外部通信、権限昇格の試みといった、マルウェアや攻撃に特有の挙動パターンを検知します。機械学習を用いて平常時の挙動を学習し、そこから逸脱した動作を異常として検出する製品が主流になっています。
対象となる脅威・監視範囲
対象となるのは、既知のパターンに合致しない未知のマルウェア、標的型攻撃、内部不正など幅広い脅威です。エンドポイント(パソコンやサーバー)上のプロセスを監視する製品もあれば、ネットワーク上の通信を監視する製品もあり、両者を組み合わせて多層的に監視する構成も一般的です。
なぜ今必要とされるのか
攻撃者は検知を逃れるため、既知のパターンに合致しないよう手口を変化させ続けています。パターンファイルとの照合だけに頼る対策では、新種のマルウェアや標的型攻撃を検知しきれない場面が増えています。侵入を完全に防ぐことが難しくなっている現在、侵入後の異常な挙動を早期に捉え、被害が拡大する前に対応することの重要性が高まっています。
振る舞い検知ツールのメリット・デメリット
振る舞い検知の導入には、未知の脅威への対応力向上といったメリットがある一方、誤検知への対応負荷や専門知識の必要性といった課題も存在します。既存のセキュリティ対策と組み合わせた多層防御の一部として位置づけることが望ましいでしょう。
導入メリット
主なメリットとして、未知の脅威への対応力、検知から対応までのスピード向上、内部不正の早期発見が挙げられます。
未知の脅威への対応力
パターンファイルに登録されていない新種のマルウェアや、標的型攻撃で使われる特殊な手口についても、挙動の異常性から検知できる可能性が高まります。既存の対策をすり抜けた脅威に対する、いわば最後の砦としての役割を果たします。
検知から対応までのスピード向上
異常な挙動を検知した時点でアラートが上がるため、被害が拡大する前の早い段階で対応に着手できます。自動的に不審な通信を遮断したり、感染が疑われる端末をネットワークから隔離したりする機能を備えた製品もあります。
内部不正・異常な操作の早期発見
外部からの攻撃だけでなく、社内の従業員による大量のデータ持ち出しや、通常業務では発生しない時間帯のアクセスといった、内部不正の兆候を検知できる場合もあります。マルウェア対策としてだけでなく、内部統制の強化にも寄与します。
デメリット・注意点
高度な検知能力を持つ一方、運用には一定の専門知識と体制づくりが求められます。
誤検知(過検知)への対応負荷
平常時とは異なる挙動を幅広く検知する仕組みであるため、正常な業務による通信やソフトウェアの更新などを異常と誤検知することがあります。アラートが大量に発生すると、対応すべき重要な異常を見落とすリスクにつながります。
導入・チューニングに必要な専門性
自社の環境に合わせて検知基準を調整する作業には、一定の専門知識が必要です。導入直後は誤検知が多く発生しやすいため、運用を重ねながら精度を高めていくチューニングの期間を見込んでおく必要があります。
振る舞い検知の主な機能
製品選定の前に代表的な機能を確認しておくことで、自社の監視対象や体制に合った製品を選びやすくなります。
プロセス・ファイル挙動監視機能
エンドポイント上で動作するプロセスやファイル操作を常時監視し、暗号化やレジストリの改ざんといった不審な挙動を検知します。ランサムウェアに特有の大量のファイル暗号化といった挙動を早期に捉える機能を備えた製品もあります。
ネットワーク通信の異常検知機能
通常とは異なる宛先や時間帯、データ量の通信を検知します。外部の攻撃者が使うC2サーバーとの通信や、大量のデータが外部に送信される兆候を捉えることができます。
機械学習によるスコアリング機能
平常時の挙動パターンを学習し、そこからの逸脱度合いをスコア化して表示します。スコアの高いアラートから優先的に対応することで、限られた人員でも効率的な運用が可能になります。
インシデント対応・自動遮断機能
異常を検知した際に、該当端末の隔離や不審な通信の自動遮断を行う機能です。検知から対応までの時間を短縮し、被害の拡大を防ぐ役割を担います。
主な振る舞い検知ツールの機能比較表
| 製品名 | 機械学習型 検出機能 |
未知・0-day マルウェア対応 |
サンドボックス 機能 |
EDR (検知・調査・対応) 機能 |
ネットワーク 隔離機能 |
脅威インテリジェンス 連携 |
リアルタイム監視・ 可視化ダッシュボード |
ランサムウェア 対策機能 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| CrowdStrike | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
| Cybereason EDR | ○ | ○ | ─ (要確認) |
○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
| FFRI yarai | ○ | ○ | ○ | ─ (要確認) |
─ (要確認) |
○ | ○ | ○ |
| ISM CloudOne | ─ (要確認) |
○ | ─ (要確認) |
─ (要確認) |
─ (要確認) |
─ (要確認) |
○ | ─ (要確認) |
| TrendAI Apex One | ○ | ○ | ─ (要確認) |
○ | ─ (要確認) |
○ | ○ | ○ |
| ※2026年8月時点のITセレクト製品データベース情報および製品公式Webページ情報より、AIを用いて作成 ※AIは誤った情報を生成することがあります。最新情報は各製品・サービスの公式情報を参照の上ご活用ください 掲載情報についてのお問い合わせ |
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振る舞い検知の選定で確認すべき3つの観点
製品選定にあたり、以下の3点を中心に評価することを推奨します。
検知精度と誤検知率のバランス
検知の網羅性が高くても、誤検知が多すぎると運用が回らなくなります。実際の自社環境でどの程度の誤検知が発生するかを、導入前の検証(PoC)を通じて確認しておきたいところです。
既存セキュリティ製品との連携性
ファイアウォールやウイルス対策ソフトなど、既存のセキュリティ製品とアラート情報を連携できるかを確認します。複数の対策を組み合わせた多層防御を実現するうえで、情報連携の可否は重要な判断材料です。
運用体制・アラート対応のしやすさ
24時間365日の監視体制を自社で構築できるか、あるいは監視・分析を外部に委託する必要があるかを検討します。アラート発生時の対応フローや、ベンダーによる分析支援の有無も確認しておくと安心です。
振る舞い検知のよくある質問(FAQ)
「振る舞い検知」の導入検討において、ユーザーから多く寄せられる質問に回答します。
Q1. 振る舞い検知とはどのような仕組みですか。
プログラムの動作やネットワーク通信を常時監視し、通常とは異なる挙動を検知してアラートを上げる仕組みです。既知の脅威をパターンと照合する従来型の検知手法とは異なり、挙動そのものの異常性に着目する点が特徴です。
Q2. 振る舞い検知はパターンファイルに登録されていないマルウェアも検知できますか。
パターンファイルに登録されていない新種のマルウェアや、標的型攻撃で使われる特殊な手口についても、挙動の異常性から検知できる可能性が高まります。既存の対策をすり抜けた脅威に対する役割を果たします。
Q3. 振る舞い検知の導入で誤検知は起こりますか。
正常な業務による通信やソフトウェアの更新などを異常と誤検知することがあります。導入直後は誤検知が多く発生しやすいため、運用を重ねながら検知基準を調整するチューニングの期間を見込んでおく必要があります。
Q4. 振る舞い検知は既存のウイルス対策ソフトと併用できますか。
ファイアウォールやウイルス対策ソフトなど、既存のセキュリティ製品とアラート情報を連携できる製品があります。複数の対策を組み合わせた多層防御の一部として位置づけることが望ましいとされています。
まとめ|振る舞い検知ツールで、未知の脅威に強いセキュリティ体制を築く
振る舞い検知は、既知のパターンに頼らず、プログラムや通信の異常な挙動そのものから脅威を捉える仕組みです。攻撃手口が巧妙化し、パターンファイルとの照合だけでは検知が難しい脅威が増える中、侵入後の早期発見と対応という観点から重要性が高まっています。
誤検知への対応やチューニングといった運用面の課題を理解したうえで、既存のセキュリティ対策と組み合わせて導入することが効果を最大化する鍵になります。自社のセキュリティ体制を見直し、振る舞い検知の導入を検討してみてはいかがでしょうか。
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