ネット家電があっても、個別に動いているだけではもったいない。ネットワークで繋がったAV機器や住宅設備が連携し、ユーザーの気分や要求に合わせたシチュエーションを作ってくれる。そんな、未来のIT住宅が4月にお披露目される。
関西電力は、「情報住宅プロジェクト」のモデルハウスを4月に開設する。これは、通信・放送機構(TAO)から受託した「IPv6ネットワーク家電をインテリジェントに制御するための情報住宅プラットフォームの研究開発」の一環。IPv6を活用し、個人が自分のニーズに応じて、各種情報やサービス、情報機器を簡単に利用できるインテリジェントな住宅を開発するプロジェクトだ。
プロジェクトの中心は、関西電力、オプティマ、オムロン、三洋電器、三洋ホームズ、東陶機器、富士通、松下電器産業、松下電工などが参加する「情報住宅勉強会」。そして、インテリジェントな住宅を実現するために用いられるのが、オプティマの「魔法のシナリオ」だ。
オプティマの西川郷子氏によると、「魔法のシナリオ」は、いわゆる「ペルソナ法」を用いて作られるという。
ペルソナ法とは、実際の利用者の生活パターンや要望・要求を反映した仮想のユーザー(ペルソナ)を設定し、製品の開発に活かすというもの。企画、設計、試験といった各ステップのなかで、常にペルソナと対話(分析)し、作業に反映することで、製品をユーザーニーズに近づけていくことを目的としている。
このとき、重要になるのがペルソナの“設定”だ。より正確に利用者をシミュレートするペルソナを作り出すためには、統計データなどと同様、より多くのサンプルが必要で、また情報の正確さも求められる。「情報住宅プロジェクトでは、ユーザーの活動におけるコンテクストを抽出するため、実際の家庭を訪問し、2週間に渡って聞き取り調査と観察調査を実施した」(西川氏)。
この調査結果をもとに、日常生活のさまざまなシーンを想定したフローチャートを作成。各シーンでペルソナが“幸せになる”シナリオを描き出した。これが「魔法のシナリオ」だ。同氏によると、その数は百数十シーンにおよぶという。
たとえば、こんなシナリオがある。
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こんなシナリオもある。
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こんなシナリオもあるかもしれない。
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特殊な事例はさておき、こうして完成した魔法のシナリオをもとに、IT住宅の空間デザインやミドルウェア、アプリケーションをデザインしていくのだという。とくにミドルウェアは住宅設備や家電をコントロールする重要な部分。今回のプロジェクトでは、デュオシステムズがミドルウェアを設計、APOが空間デザインを担当した。
ホームサーバに搭載されたミドルウェアは、IPv6ネットワークを介して各家電を制御する。また、実際にIT住宅を操作するリモコンには、TabletPCを使用。リモコンのボタンひとつでホームサーバに記録された「魔法のシナリオ」が動き、電化製品や住宅設備、そして各種サービスを連動させる仕組みだ。
この情報住宅モデルハウス。大阪府箕面市に現在建設中だ。なお関西電力では、今春からモデルハウスをショウルームとして一般に公開し、来場者の意見など、さらに多くのデータを集めていく方針だという。
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