また前面パネルにアルミ材を用いてるほか、上面にもアルミパネルを全面的に敷き詰め、左右はアルミ押し出し材で固めている。組み立てに使われているビスはオールステンレス。背面パネルのコンポーネント出力がRCAではなくBNC端子になっていることからも、東芝の気合いが見え隠れする。
リアパネル。入力端子は、S/コンポジット×3系統、D1×1系統、およびDV入力。出力端子はHDMI×1のほか、D4×1、コンポーネント×1、S/コンポジット×3。このほか、同軸デジタルと光による音声出力が各1系統、i.Link(TS)出力などを搭載する実際に手にすると、その剛性感の高さに驚くが、これが音質、画質に与えている良い影響は少なくないだろう。もちろん大容量の電源、オーディオグレードの高品質パーツの採用といった定番の高画質・高音質対策も施されている。
簡単に試聴した限りでは、かなり腰の入った低音を聞かせる、パワフルな音を出していた。映像に関してもアナログ、デジタル出力ともにS/N感が良好。先鋭度も十分に高いが、無理にシャープネスを高めてはおらず、オーバーシュートを目立たせないほどよい自然さが残されている。今後、製品発売までに追い込みが続けられるようだが、現時点でも同カテゴリではトップと言える品質にまで高められている。
こうした品質面での設計、チューニングの指揮は、かつてのハイエンドDVDプレーヤー「SD-9200/SD9500」や、最近の「RD-Z1」を担当した東芝AV設計第4部の桑原光孝氏が今回も行っているという。製品版の仕上がりが期待されるところだ。
ちなみにi.Linkによる他製品との接続だが、互換性に関してはRD-Z1とほぼ同じになるという。Z1でサポートされているD-VHSあるいは「Rec-Pot」へのムーブが可能なほか、MPEG2-TSストリームを受けて、本機の映像回路で再生させることもできる。ただし、他機器からRD-A1へのムーブは不可能。
マニアックな視点で見れば、RD-A1の映像回路を拝借して既存のD-VHS資産や他レコーダーの映像・音声を高品質に楽しむという目的でも利用価値が高い。
とはいえ、もう少し手軽に利用できる、ハイエンドではない映像・音声出力のHD DVDレコーダーを求める声もあるはずだ。こちらに関しては「いくつかのHD DVDドライブ採用モデルを開発中」としており、今後、年末に向けて登場してくる可能性がある。
個人的にはHD DVDへの記録を行わなかったとしても「最新RD+HD DVDプレーヤー+高音質・高画質回路」の部分だけで十分評価できる内容と受け止めたが、現実には消費者はシビアな目で見るだろう。HD DVD Rメディアについては、7月から三菱化学メディアや日立マクセルが発売する予定であり、1層2000円、2層で4000円という予想価格が出されている。記録時間あたりで比較すると、Blu-ray Discよりもやや高くなる計算だ。
HD DVDがレコーダー用メディアとして成功するには、この価格をどれだけ早いタイミングで下げられるかにかかっている。第2世代のBDレコーダーは今年11月以降の発売になると予想されているが、先行するそれまでの期間にメディア価格が下がってくるかどうか。10〜11月の段階で、2層ディスクが2000円以下にまで下がってこなければ、成功のチャンスは限られてくる。
そのためには、RD-A1に続いて低価格のHD DVDレコーダーが順次提供される必要があるだろう。2号機以降の戦略も含め、いかに市場で先行できるかが注目点となる。
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