音楽再生に関しては、新たに曲間を開けずに楽曲を連続して再生するギャップレス再生に対応した。クラシックやライブ盤を愛聴するユーザーにとってギャップレス再生の非対応はiPodの弱点と認識されていたが、本製品を含む新iPod(iPod/iPod nano/iPod shuffle)ではiTunes7との組み合わせることでギャップレス再生に対応した。
既にiTunesへ収録されている楽曲のギャップレス再生を有効とするには、楽曲のオプションに用意されている「ギャップレスアルバムの一部」のチェックボックスをオンにしたうえでiPodとシンクする。
手元のライブ盤「Familiar To Millions」(Oasis)で確認してみたが、確かにこれまでのiPodでは認識できていた曲間がなくなり、よりCD視聴時に近いサウンドが楽しめた。旧モデルならびに第4世代iPodとiTunes7を組み合わせてみてもギャップレス再生は行われなかったので、iPod側で何らかの処理が行われているようだ。
詳細な仕組みは不明だが、米Appleの担当者はインタビューで、ギャップレス再生について「iTunesとiPodの両方が正しくサポートできて、はじめてフルサービスとなり得るわけです。そのための時間だったと考えてください」と発言しており、ハードとソフトの両面での対応が必要なことは推測できる。
ヘッドフォンはこれまで通りホワイトとグレーのツートンカラーの樹脂製ハウジングの製品が付属する。しかし、素材が変更されたようで旧製品よりも質感が向上している。また、ハウジングのサイズがやや小型化されており、フィット感も向上している。
比較的低音を強く押し出す音の傾向は変わらずながら、ダイナミックレンジが若干ながら拡大しているようで、より広がりや厚みを感じられる。個人的には旧タイプよりも好印象だ。
フォトビューワや世界時計、ストップウオッチ、Outlookとも連動するアドレス帳/カレンダー機能などそのほかの機能はほぼ旧モデルを踏襲する。iTunes Storeではゲームコンテンツの販売も開始されたが、ゲームが楽しめるのは「iPodソフトウェア1.2以上がインストールされたiPod」とされており、残念ながら本製品でゲームを楽しむことはできない。
地味な改良点だが、駆動時間が24時間と旧モデルの約2倍(旧モデルは約14時間)に延長されたのはうれしいポイント。1日2時間程度の通勤通学で利用するにはもちろん、短期出張時などにもバッテリー切れの心配はなくなる。
大幅に変更されたデザインを除けば、ギャップレス再生の対応や再生時間の大幅な延長、高級感を増したヘッドフォンなど、これまで弱点と指摘されてきたポイントを克服した隙のないバージョンアップを果たした製品と言える。
価格も1万7800円からと手ごろでカラーバリエーションも豊富。ライバルのソニーもEシリーズ(レビュー)やSシリーズ(レビュー)など魅力的な製品を用意するが、年末の商戦期に一番人気のポータブルオーディオプレーヤーとなりそうだ。
しかし、それだけに検索機能における日本語対応の弱さや、iTunes Storeで長編映画が購入できないといった、iPod+iTunesの「ローカライズの弱さ」が気になってしまう。一朝一夕に解消する問題ではないことは十分に理解できるが、iTuens Storeで購入した映像をリビングで楽しめるSTB「iTV」の登場も予告されており、同社が映像も含めたエンターテイメント全般を対象に、動きを活発にしていることは明らかだ。
iTuens Music Store(当時名称)が日本でサービスインした際、スティーブ・ジョブズ氏自らが来日したように、同社にとって日本市場は決して無視できない存在のはず。日本市場を対象とした一層のサービス拡大、――ローカライズと言い換えてもいい――を期待したい。
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