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JBLらしさを感じさせるNCヘッドフォン――「JBL Reference 510」レビュー(2/2 ページ)

» 2006年12月18日 11時29分 公開
[渡邊宏,ITmedia]
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 多くのNCヘッドフォンと同様に、折りたたみ機構も備えている。ハウジングが内側に折りたためるほか、水平方向へも90度回転するため、折りたたむと相当にコンパクトになる。ハウジングの小ささも相まって、折りたたみ時のサイズは同種の中でも群を抜くコンパクトさといえるだろう。

photophoto 平常時(左)と折りたたみ時(右)

外出先で真価を発揮するNC機能

 では、早速試用してみよう。

photo 装着例。耳全体を覆わないオンイヤータイプだが、遮音性は高い

 装着した瞬間に気が付くのが、遮音性の高さ。耳の上に載せるオンイヤータイプだが、クランプ圧が高めに設定されているようで、装着するだけでかなり外音を遮断する。室内で感じるPCのファンやエアコンの動作音は装着するだけで相当低減される。

 そのまま音を流さない状態でNCのスイッチを入れると、ダイナミックレンジが一瞬狭くなり、次の瞬間には低い騒音がカットされる。しかし、室内で利用する限りではNCの「サーッ」という動作音がかなり気になる。筆者がこれまで使用したボーズのQuietComfort2/3(レビュー)、東北パイオニアの「SE-MJ7NS」(レビュー)より動作音は大きいようだ。

 動作音が大きめという印象は、室内でそのまま音楽を流し始めても変わらなかった。ある程度プレーヤーの音量を上げれば気にならなくなるが、小さめの音量(iPod 5Gでは音量目盛り1/5程度)ではアップテンポのロックでも動作音が気になる。集音マイクが敏感なのか、回路処理の設定なのかは不明だが、室内の騒音が気になるからNCヘッドフォンを使いたいという要望には不向きといわざるを得ない。

 ただし、外部の音量が上がる野外ではNCの効果は絶大なものになる。いつもどおり地下鉄の構内と電車内で試用したが、NCをオンにすると風切り音はほぼキャンセルされ、レールの継ぎ目を乗り越える音など、普段は気になる音がほとんど気にならなくなる。どうも周囲の音が大きくなるほどキャンセル効果が高くなる性質を持つようだ。航空機内や電車内などいったノイジーな場所で利用する限り、「周囲の音を最大70%低減する」といううたい文句はダテではないようだ。

photophoto ドライバユニット(左)、NC動作中はNCユニットのLEDが赤く点灯する(右)

 もうひとつ特筆すべきことがある。NCをオフにした際に感じられるヘッドフォンとしての素性のよさだ。筆者はJBLのスピーカーについて、音離れがよく、自然とバランスよく音が前に出てくるようなイメージをもっていたが、本製品のサウンドもまさにその通りだった。

 外出先で利用するというシチュエーションを重視するのか、最近では低音の迫力、再現性に重きを置いたヘッドフォンが多いように思うが、本製品はあくまでもバランス重視。ハードロックのライブ盤などでは低音にゴワゴワとしたもたつきを感じることもあるが、クラシックからジャズ、ロック、ポップスまで破綻なく再生してくれる。「ズンドコ」なサウンドが苦手な人には一度試して欲しい。


 パッケージにはポーチのほか、航空機用のデュアルプラグ、6.3ミリプラグも同梱されている。ポータブルオーディオプレーヤーとの組み合わせを念頭にしたというが、飛行機や家庭のオーディオでも購入後すぐに利用できるのはありがたい。

 無音/小音量時のNC動作音やケーブルレイアウト、NCユニットのサイズなど気になる点も散見されたが、ヘッドフォンとしての能力も高いほか、「騒音のある環境で静かに音楽を楽しむ」という本来の目的も十二分に果たしている。普段はNCなしのコンパクトなオンイヤーヘッドフォン、通勤や出張時にはノイズを低減できるヘッドフォンが欲しい――そう考えるひとには検討に値する製品だ。

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