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SED貯金の行方LifeStyle Weekly Access Top10

» 2007年05月02日 10時22分 公開
[芹澤隆徳,ITmedia]

 あまり自慢にならないが、自宅のテレビは10年選手のブラウン管だ。お気に入りだった初代「プロフィール」が3度のブラウン管交換の末に大往生を果たし、薄型テレビが安くなるまでの“つなぎ”として購入したもの。たしか、「キララバッソ」シリーズのカタログに載ってはいたが、ロゴも入らないエントリーモデルだったと記憶している。

 にもかかわらず、いままで液晶テレビに手を出さなかったのは、懐の事情にくわえて、動画の再現性が気になっていたから。一方、なぜプラズマに手を出さなかったかといえば、懐事情にくわえて、画面の表面反射が気になったからだ。腰を据えて映画を見るなら、部屋を暗くすればいいが、普段は明るい蛍光灯の下で仕事をしながら画面に目を向けることが多く、わが家のテレビは明るい場所で働けることが条件。先にフロントプロジェクターを入手して“映画用の画面”を持っていたことも理由の1つだ。

 このように、各方式のデメリットだけを気にして手を出さずにいたわけだが、突き詰めて考えてみると、実際は“つなぎ”のブラウン管テレビが予想以上に元気で、買い換えの“きっかけ”を掴めずにいたというのが本音だ。結局、周囲にはカッコつけて「SEDを待つ」などと宣言し、ローンを抱えたつもりで毎月少しずつ“SED貯金”を積み立てている。問題は、いくら貯めれば良いのかさっぱり分からないことで、同じ悩みを抱える人は日本全国にいると勝手に予想している。

 しかし、最近はちょっと状況が変わってきた。液晶テレビが倍速駆動で動画表示を改善し、プラズマは明るい室内を想定した新しいフィルタを装備するなど、まるで誰かの心を見透かすかのような方向で進化している。そのため、新製品発表の場に行くたびに物欲に襲われるようになった。製品発表から発売までには数カ月の時差があり、その間に別のメーカーから新製品が発表されるため、まだ購入には至っていないのだが……。

 ついでに書いておくと、最近SEDを見る機会がないのが残念だ。思い起こせば、去年秋の「CEATEC JAPAN」が最後。その後にライセンス問題のゴタゴタがあり、年初の「International CES」や先日の「Dispray 2007」でもSEDの姿を見ることはできなかった。プロモーション活動が行いにくい状況の東芝はともかく、キヤノンやSED(会社のほう)はもう少し自己主張してもいいと思うのだが、やはりライセンス問題が尾を引いているのだろうか。

 一方、巷ではソニーの有機ELが話題だ。厚さ3ミリの有機ELに将来の“壁張りテレビ”を期待して盛り上がっているわけだが、年内は11V型しか出ない予定なので個人的には少し冷静(年内に購入希望なので)。ただ、秋のCEATECあたりで大きなサイズが展示されたりしたら、自分も購入計画を先延ばししてしまうのではないかと、今から期待心配している。

 SED貯金の行方やいかに。正直、自分でもわからないが、新製品と物欲に踊らされている状況はけっこう楽しい。

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