今にして思えば、昔のアキバ的自作の「PCで遊ぶ」という感覚は、いろいろなパーツを実装してみて安定して動くかどうか楽しむという、知的好奇心を満足させることを意味した。クロックアップ、ペルチェ素子による冷却、水冷などさまざまな試みがなされたが、一瞬でもOSが起動すればOK、というところがゴールではなかった。基本は安定して動作するギリギリを探す、というところが、重要だったのである。
そこはやはり、「実用になるかどうか」の技術のせめぎ合いだったのだろうと思う。そしてNetBookの登場で、再びいろいろ乗っけてみて遊ぶという楽しみが、また復活するのではないかという気がする。ハードウェアからソフトウェアにこそ対象が変わったが、実用になるかどうか、は常にPC遊びのポイントである。
しかし舞台がノートPCに移ったことで、ベンチマークの意味もまた変わってくるだろう。これからのターゲットは、処理速度ではなく、バッテリの持続時間にシフトすると思われる。不要なハードウェア機能を殺し、シンプルかつ実用的な構成にできるか。そしていかに効率的な省電力設定を構築できるか。
そこにはソーラーカーを自作したり、鳥人間コンテストに参加したりといったモチベーションにも似た、チューニングの醍醐味(だいごみ)がある。時代はエコであり、究極のエネルギー効率を目指す世の中なのだ。
今はまだそこまで手が回っていないようだが、そのうちBIOSをいじる剛の者も出てくるだろう。今後のトラブル防止のために、OSを立ち上げずに正規のBIOSをインストールする方法をメモしておく。
言うまでもないことだが、改造BIOSのインストールは自己責任で。
もっとも、単純にバッテリライフを伸ばす最善の方法は、普通にWindowsXPを使うということだったりする。しかしあえていばらの道を進むというのが、遊びの遊びたるゆえんであろう。
過去順調だった頃のPC業界は、こうしたユーザーの遊びが積み重なって、次のトレンドやPC業界あるいは社会全体への貢献が成されていった。こういうユーザー層があるうちは、PCはまだおもしろいことが起きる余地があるということだ。
腕に覚えのある読者諸氏も、もういちどNetBookでPC遊びを復活してみてはどうだろうか。
ASUS、「Eee Box」「Eee PC 900-X」の発売日を決定
Netbookとは自由度が違う:これはUMPCのリベンジだ――新生「LOOX U」実力診断
むいてみました:Atom搭載の低価格PC「Wind Netbook U100」を3枚におろした
山田祥平の「こんなノートを使ってみたい」:デルは「箱」を開けてしまったのか
むきました:低価格ミニノートPC「Aspire one」を2枚におろしてみた
古田雄介のアキバPickUp!:デュアルコアAtomが登場「……こ、これは、PenDアーキテクチャ!?」
ASUS発表会:GF9300M GSを搭載したAtomノート「N10J」を国内投入
すべてはここから始まった:動画で見る低価格ミニPC――「Eee PC」新旧比較
元麻布春男のWatchTower:急拡大するミニノートPC市場に足りないモノ
ASUS、コンパクトデスクトップPC「Eee Box」を発売延期――10月以降Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR