国内でUMPCに先鞭(せんべん)をつけたのは、2007年5月に富士通が発表した企業向けの「FMV-LIFEBOOK U」シリーズだった。富士通はこれをベースとした個人向けの直販専用モデルとして、同年6月に「FMV-BIBLO LOOX U」シリーズを投入し、同年9月には満を持して店頭モデルの販売も開始した。
LOOX Uは当時としては仕様も価格もかなりチャレンジングな製品で、その後はカラーバリエーションを増やすなどマイナーチェンジの新モデルが投入され続けたが、2008年に入ってからはASUSの「Eee PC」に代表される低価格ミニノートPC(インテルが呼ぶところのNetbook)に話題をさらわれ、その影に隠れてしまった感がある。
しかし、富士通は次の一手を用意していた。2008年秋冬モデルとして登場した「FMV-BIBLO LOOX U/B50」(以下、U/B50)は、「FMV-LIFEBOOK U」シリーズの登場から1年強を経て、初めてフルモデルチェンジがなされた点で大いに注目できる製品だ。
プラットホームを「Intel Ultra Mobile Platform 2007」から「Centrino Atom」に変更し、ディスプレイの高解像度化、無線LANのIEEE802.11n(ドラフト2.0)対応、バッテリー駆動時間の強化などが図られている。「富士通WEB MART」で購入できる直販モデルならば、NTTドコモのFOMAネットワークで定額インターネット接続が可能な無線WANモジュールの内蔵も可能だ。製品概要に関しては既に紹介済みなので、以下の記事を参照してほしい。
富士通謹製UMPC再び:Atom搭載「LOOX U」の進化ぶりを写真でじっくり解説する
液晶もキーボードも快適化:565グラムのAtom搭載UMPC「LOOX U」を動画で見る
2008年PC秋冬モデル:富士通のUMPCがAtom採用でフルモデルチェンジ――「FMV-BIBLO LOOX U」
2008年PC秋冬モデル:富士通、Atom搭載「LOOX U」や地デジ付き「DESKPOWER F」など秋冬モデルを一挙発表
U/B50の基本デザインは従来モデルからほぼ継承された。タッチパネル機能付きの液晶ディスプレイを180度反転させることでタブレットPCのようにも使えるコンパーチブル型ボディを採用しており、本体サイズもほぼ同等だ。本体サイズは標準バッテリー搭載時で171(幅)×135(奥行き)×26.5〜33(高さ)ミリ、重量は約565グラムとなっている。
スティックポイントと左右クリックボタンで構成されるポインティングデバイスをキーボードの下部ではなく、液晶ディスプレイのヒンジ側に装備するレイアウトも特に変更はない。こうした特徴から、一見すると、マザーボードを入れ替えて液晶ディスプレイを高解像度化した製品に思えなくもない。
しかし、実際には従来モデルとはまったくの別物だ。サイズやデザインの変化はあまりないが、使い勝手に直結するディスプレイやキーボードの仕様、外部インタフェースのレイアウトが大幅に異なる。実機を見比べてみると、ボディも内部も完全に新設計されたものであることが分かるだろう。
これまでのLOOX Uは話題性こそ高かったものの、Netbookほど広く受け入れられたわけではなかった。それでも従来モデルと同じUMPCというフォームファクタにこだわって設計し直した点には、富士通の技術者の意地を感じる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.