これはUMPCのリベンジだ――新生「LOOX U」実力診断Netbookとは自由度が違う(2/4 ページ)

» 2008年09月26日 11時00分 公開
[坪山博貴,ITmedia]

格段に使いやすくなったキーボード

 従来モデルから格段に改善が進んだのがキーボードだ。従来モデルでも両手親指打ちに加えて一般的なタイピングスタイルをある程度許容できるレイアウトと、キーピッチを確保していたが、U/B50Nもこの点は継承している。

キーボードは一般的なノートPCのスタイルで入力してもいいし(写真=左)、両手で本体を抱えて左右の親指で入力してもいい(写真=右)

 ただし、従来モデルは方向キーに加えてTabや「−」(長音符)など、利用頻度の高いキーがFnキーとの併用での入力となっており、この点が少なくとも両手親指打ちでの使い勝手を大きく阻害していた。

 新しいキーボードはボディサイズの制約から変則的なキー配置も散見されるが、イチから設計が見直されている。5段配列から6段配列に変更してキー数を56キーから68キーに増やしたおかげで、日常的な文字入力でFnキーを併用する場面は大きく減り、この点では両手親指打ちでの操作性が大きく向上した。ファンクションキーもF1〜F6は単独操作が可能になった。

従来モデル(写真=左)とU/B50(写真=右)のキーボード比較。キーを1段増やして、利用頻度の高いDelete、Tab、F1〜F6キー、カーソルキー、「−」を独立させた。代わりに、「@」や括弧のキーなどはFnキーとの併用になった

 Windowsの時代になってファンクションキーの利用頻度は減ったと思うが、それでもAlt+F4でウインドウを閉じる、Ctrl+F4でアプリケーション内の子ウインドウ(Firefoxのようなタブブラウザならタブ)を閉じる、ウインドウ内での要素の移動(ブラウザなら表示とURL入力欄間の移動)といった操作は、多用する人も多いのではないだろうか。

 また、なぜF6キーまでが単独のキーになったのかと思う人もいると思うが、ファンクションキーを使ったWindowsのショートカット操作はF1〜F6に集中しているので、実はかなり合理的なのだ。この点はUMPCですばやくキーボードを操作するために結構重要なポイントだと思う。

 従来はほかのキーとほぼ同じサイズだったEnterキーも大型化され、日本語キーボードでは一般的な縦長タイプになったため、特に通常のタイピングスタイルでの押し間違いは圧倒的に減るはずだ。キートップの周囲に段差を設け、隣接したキーが反応しにくくなるような工夫もされている。先にピックアップした改良点が主に両手親指打ち向けだとすれば、これらは通常のタイピングスタイル向けの改良点といえる。

 それでも最初は「、」やTab、「半角/全角」の変則的なレイアウトに戸惑うと思うが、従来モデルと比較するとキーボードの改善だけでもう「ごちそうさま」と満足できるくらいに意味は大きい。

キートップの4辺に段差を設け、隣接するキーとキーの間隔を約3ミリから約4.2ミリに拡大することで、ミスタイプを抑えている(写真=左)。液晶ディスプレイ左下のボタンを長押しすると、キーボードライトが点灯する(写真=右)

 キーボードの操作性に大きく関わってくる部分なので、あえてここで触れておくが、従来モデルと同じく右側面にあるCFカードスロットが後退して、ほぼ最前面から中ほどの位置に移動しているのも見逃せない。

 ミニノートPCがどんどんPC/CFカードスロットを排除する中でU/B50NがあえてCFカードスロットを残したのは、CFタイプの通信カードの存在があるからだろう。従来モデルはCF通信カードを装着するとそのエクステンド部(出っ張り)が干渉してしまい、両手親指打ちの使い勝手を大きく阻害していたが、この点は大幅に緩和された。持ち方次第では、ほとんど気にならないだろう。

上の従来モデルに比べて、下のU/B50はCFカードスロットの位置が奥側に移動している(写真=左)。イー・モバイルのCF通信カードを装着してみた(写真=右)。真横からがっちりと抱え込むような持ち方をしない限り、両手親指打ちでもほとんど気にならない位置にエクステンド部がくる

 なお、U/B50とコンセプトが近い端末である「WILLCOM D4」との比較も述べておこう。主要キーのキーピッチはU/B50が約14.8ミリ、D4が約12.2ミリとこの違いも大きいのだが、通常のタイピングスタイルだとU/B50Nのほうがキーピッチの差以上に圧倒的に打ちやすいと思える。D4と比較するとキータッチがソフトで、一般的なノートPCと比較しても違和感がずっと少ないからだ。

 もちろん、D4のキータッチが固めなのは2つのキーが同時に反応しないように考慮されたものだと思うが、通常のタイピングスタイルである程度キーピッチに慣れてタイピングの速度が上がってくると、押したつもりでキーが反応していないことが多々発生した。この点でU/B50のキーボードは、ある程度キーピッチに慣れてきてタイピング速度が上がっても同じような問題は発生しにくいのだ。

高解像度ディスプレイの課題はズーム機能でカバー

 キーボードに次いで大きな改良点となるのが液晶ディスプレイの高解像度化だ。画面サイズは5.6型ワイドとそのままだが、解像度は従来モデルの1024×600ドットから1280×800ドットに高まり、1画面での情報量は約1.7倍に向上している。昨今は1024×768ドットのディスプレイを解像度の下限としてデザインされたWebサイトが多く、縦方向が800ドットあるとブラウジングの快適性はかなり高まる。

従来モデル(写真=左)とU/B50(写真=右)の液晶ディスプレイ比較。画面サイズは5.6型と同じだが、解像度が1024×600ドットから1280×800ドットに変更され、一度に表示できる情報量がかなり増えた

 もちろん、画面サイズそのままの高解像度化は功罪の両面がある。例えばウインドウを閉じるボタンの操作は、マウスをつなげば難は感じないが、内蔵ポインティングデバイスでもタッチペンでもなかなか1回では正確にクリックできない。タブレットスタイルにして電車の中などで立ったまま操作しようとすると、この点はさらに顕著になる。

 この問題をたやすく解決してくれるのがズーム機能だ。液晶ディスプレイの下にズームボタンが準備されており、押す度に1280×800/1024×600/800×480ドットの3段階に表示解像度を変更してくれる。これにより、使用環境に合わせて操作しやすい解像度に変更することが容易なのだ。タブレットスタイルでもズーム操作は可能で、ディスプレイの縦横表示の切り替えもワンボタンで行える。

ズームボタンを押すと、解像度を3段階に切り替ることができ、小さな文字などが見やすくなる。左から、1280×800/1024×600/800×480ドットの表示例。ここまで表示が拡大される

 ドットピッチが非常に細かいことも幸して、1024×600/800×480ドットという拡大表示時でもジャギーはさほど気にならない。少なくとも液晶ディスプレイが高解像度化されたことで、従来モデルから失ったものはほとんどないといえるだろう。

従来モデル(写真=左)とU/B50(写真=右)で液晶ディスプレイを最大まで開いたところ。U/B50では液晶ディスプレイの開く角度が大きくなったため、ヒザの上に置いた状態での作業や、液晶ディスプレイを開いたまま両手で抱えてポインティングデバイスを扱う作業で、ユーザーが自然な姿勢を保てる

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