位置変更がなかったポインティングデバイスに対して、より実用性を重視してレイアウトに手を加えたと思えるのが各種インタフェースの配置だ。
既に触れているが、CFカードスロットは従来モデルより後退して右側面のほぼ中央に移動し、CF型の通信カードを装着しても両手親指打ちがしやすくなったと同時に、通常のタイピングスタイルでも立てたアンテナなどが干渉しにくくなった。
USB 2.0ポートは従来モデルの右側面から左側面に移動したが、ユーザーから邪魔とまでいわれたカバーを排除した。後ろよりに配置されているのでCFカードスロットと同様に、USB接続の通信モジュールを装着しても両手親指打ちの際に手と干渉しにくい。また、ヘッドフォン/マイクの端子も後方に移動したので、ヘッドフォンを利用しながら両手親指打ちを行う場合でも端子の位置が気になることはないだろう。
ワイヤレス通信のオン/オフスイッチは左側面の後方から右側面の前方に移動した。これは従来モデルでも大きな問題はなかった配置だが、ACアダプタを装着していると電源端子との干渉が気になったのも事実だ。どちらかといえば、ほかのレイアウト変更にともなって移動を余儀なくされた感もあるが、両手で抱え込んでいるときに親指でチョイと操作しやすい位置になったといえる。
ネットワーク機能はIEEE802.11nとBluetoothを新たに標準で搭載した。100BASE-TXの有線LAN、IEEE802.11a/b /g/n(11nはドラフト2.0)の無線LAN、Bluetooth 2.1+EDRの機能を装備している。
レイアウト変更という点では、排気の工夫にも注目したい。従来モデルではブロアーファンを右後方に装備し、右側面の排気口から排気していた。U/B50でもブロアーファンが採用されているが、底面から斜め下に排気するように大きめの排気口が設けられ、排気音が耳障りにならないように配慮されている。
バッテリーの底面には段差があり、排気口の周囲と設置面との間には空洞ができるため、机などに置いても通風口がふさがれることはなく、エアフローがしっかり確保される。ただし、ベッドの上など柔らかい場所に置いて利用する場合には、底面の排気口をふさいでしまう可能性があるので注意してほしい。
従来モデルとは直接比較しにくい部分が、根こそぎ変わったプラットホームだ。U/B50NはCPUが動作クロック1.6GHzのAtom Z530で、従来モデルが搭載していた800MHzのA100から2倍になったが、内部構造が異なるCPU同士なのでこの動作クロックの比較は当てにならない。
また、グラフィックス機能はチップセット内蔵型だが、こちらも従来モデルのIntel 945GU ExpressからIntel SCH(System Controller Hub)に変更され、グラフィックスコアそのものが変更されている。カタログスペックを見ても優劣が分かりにくい部分だ。
そこで、U/B50Nのパフォーマンスを各種テストで調べてみた。まずはWindowsエクスペリエンスインデックスの結果だが、最も低いサブスコアだったCPUの項目が2.1から3.0へと大きく底上げされた。ただし、Windows Aeroのデスクトップパフォーマンスは3.5から2.9へ落ちている。Vistaが快適に利用できるとされるスコアの3にはわずかに届かないが、これが重量約565グラムのUMPCと思うと、かなり良好なスコアといえる。
PCMark05のスコアについては、手持ちのデータがWindows XP Professinal搭載の「U50WN」のものしかなかったので、比較にはこれを用いている点に注意してほしい。U/B50Nは初期状態でWindows Aeroがオフになっていたが、オンの状態でもスコアを計測した。
結果はグラフの通りで、Windows Aeroがオフの初期状態ではグラフィックス以外のスコアが従来モデルを上回り、トータルスコアのPCMarksでもわずかながらU/B50Nが上回った。OSが異なるため正確な評価は難しいが、一般には同じハードウェアであればPCMark05ではWindows Vistaのほうがスコアは低下する傾向にあるので、少なくともパフォーマンス面で従来モデルに見劣りすることはなさそうだ。Windows Aeroをオンにした状態ではCPU、メモリといったスコアが大幅に低下しており、初期状態のWindows Aeroをオフにした設定で利用するのが正解だと分かる。
ただし、WindowsエクスペリエンスインデックスやPCMark05のグラフィックスのスコアから見て取れる通り、3D描画性能は従来モデルより低下している。これはFINAL FANTASY XIオフィシャルベンチマークソフト3のスコアにもはっきりと現れており、3D描画性能には期待しないほうがよいだろう。
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