IDF2日めはモバイル関連の基調講演が行われた。「Where Does Wireless Go From Here?」と題するモバイルコンピューティングの最新事情を取り上げる講演では、Intel上席副社長兼モビリティ部門 本部長のダディ・パルムッター氏と、Intel上席副社長兼ウルトラモビリティ部門 本部長のアナンド・チャンドラシーカ氏が登壇した。
講演の前半はダディ・パルムッター氏が担当し、2007年5月にローンチされる「Santa Rosa」、45ナノメートルプロセスの「Penryn」を採用した「Santa Rosa Refresh」(第2世代のSanta Rosa)に引き続き、2008年にはノートPC向け次世代プラットフォームとして開発コード名「Montevina」を投入するロードマップを示した。MontevinaはCPUに「Penryn」、チップセットに「Cantiga」、Wi-Fi/WiMAX両対応の「Echo Peak」(いずれも開発コード名)で構成され、HD動画のハードウェアデコーダーなどHDクオリティーのマルチメディアへの対応や、モバイル端末向けに最大40%までパッケージサイズを縮小するなどの情報が公開された。


2008年に登場予定の次世代プラットフォーム「Montevina」(写真=左)。Montevinaを構成するCPUの「Penryn」(写真=中央)。各コンポーネントは集積化がなされ最大40%も小型になるという(写真=右)パルムッター氏からスピーチを引き継いだチャンドラシーカ氏は、「現在の有線によるインターネット接続に甘んじているPCも、WiMAXによってそのような弱点が解決する。さらにデスクトップPCやモバイル端末などプラットフォームを問わずシームレスに利用できるアプリケーションが強く求められている。これを実現するために、性能と互換性を犠牲にすることなく発熱/消費電力/パッケージサイズを同時に減少させるプラットフォームが必要だ」と語り、これまで開発コード名で「McCaslin」と呼ばれていたUMPC(Ultra-Mobile PC)向けプラットフォームを「Intel Ultra Mobile Platform 2007」として正式に発表した。
Intel Ultra Mobile Platform 2007は、CPUに消費電力3ワット程度のA100/A110(開発コード名:Stealey)、チップセットのIntel 945GU Express(開発コード名:Little River)、サウスブリッジのICH7Uで構成される。最大1GバイトまでのDDR2 400 SO-DIMMやPCI Express x1、3本のPCI、1チャンネルのParallel ATA/100、HDオーディオなどが利用可能だ。また、現行プラットフォームと比較してパッケージサイズは3分の1、平均消費電力と待機消費電力は2分の1に抑えられている。
そのほか、NTTドコモ執行役員兼プロダクト&サービス本部ユビキタスサービス部長の徳広清志氏がIntel Ultra Mobile Platform 2007の登場を歓迎し、顧客サービスの充実に向けて採用を検討するという旨のビデオレターを寄せた。


Intel Ultra Mobile Platform 2007は、2006年のプラットフォームと比較して実装面積が3分の1、平均消費電力と待機時の消費電力がそれぞれ半分になるという(写真=左)。中央のスライドがIntel Ultra Mobile Platform 2007のブロックダイヤグラムだ。ビデオレターを寄せたNTTドコモの徳広清志氏(写真=右)すでにaigo、ASUSTeK、富士通、Samsung、htc、HaierといったメーカーがIntel Ultra Mobile Platform 2007の採用を表明しており、2007年夏には製品の出荷が開始される予定だ。壇上では各メーカーの試作機が展示されていたが、その中からスライド式キーボードとタッチパネルを備えたSamsungの試作機を取り上げ、スクリーン上のアイコンをタッチしてアプリケーションを起動したり、メニューボタンを並べ替えるなどの動作デモを披露した。
さらに、45ナノプロセスのCPU「Silverthorne」(開発コード名)とチップセット「Poulsbo」(開発コード名)から構成される次世代プラットフォーム「Menlow」(開発コード名)を2008年第1四半期に投入することも明らかにされた。これは、IDF Fall 2005において発表されたIAアーキテクチャの消費電力を10分の1に低減する計画の一環で、CPUの熱設計消費電力が10分の1に、プラットフォーム全体の熱設計消費電力とパッケージサイズ、平均消費電力が4分の1、待機消費電力が5分の1とさらなる小型化と低消費電力化を実現している。
チャンドラシーカ氏は、「MenlowによりUMPCはポケットに収まるサイズにまでコンパクトになり、言葉通りいつでもどこでもインターネットに接続して楽しめるようになる」と述べた。その後、台湾COMPALのMenlowプラットフォーム搭載試作機でYouTubeをストリーミング再生するデモを行い、一般的なPCと変わらない性能を持つことをアピールした。


2008年第1四半期に投入される新プラットフォーム「Menlow」(写真=左)。2006年のプラットフォームと比較して、Menlowでは実装面積と平均消費電力、熱設計消費電力がそれぞれ4分の1、待機時の消費電力が5分の1になるという(写真=中央)。プラットフォーム別のチップセットとCPUのサイズ比較(写真=右)
Menlowで採用される45ナノプロセスのCPU「Silverthorne」(写真=左)。非常に小型なSilverthorneとチップセットの「Poulsbo」(開発コード名)を用いることで、Menlowプラットフォームは小さな基板で製造できるようになる(写真=右)IntelはUMPCの普及に向けての取り組みの1つとして、メーカー側に製品開発を促す「Mobile Internet Device Innovation Alliance」を発足し、ELEKTROBIT、ASUSTeK、Inventec、htc、COMPAL、Quanta Computer、BenQの7社が加盟したと発表した。また、Intel Ultra Mobile Platform 2007はWindows Vistaに加え、Red FlagやUbuntuなどのLinuxディストリビューションに対応するほか、インターネットとデスクトップをシームレスに連携させるアプリケーションを開発可能なAdobe Apolloプラットフォームも利用できるとした。


UMPCの業界団体「Mobile Internet Device Innovation Alliance」の結成が報告された(写真=左)。Menlowプラットフォームを搭載したAigo(写真=中央)とSamsungの試作機(写真=右)
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