“Intel Inside”を家電にも──エリック・キム氏基調講演Intel Developers Forum 北京(1/2 ページ)

» 2007年04月18日 15時00分 公開
[富永ジュン,ITmedia]

 Intel上席副社長兼デジタルホーム事業本部長のエリック・キム氏は17日(北京時間)、中国・北京で開催中のIDF 2007 Beijingにおいて「Winning the Connected Home」と題した基調講演を行った。今回の目玉は、CPU、グラフィックス、サウンド、I/OコンポーネントがシングルチップにパッケージングされたSoC(System-on-a-Chip)「Intel CE 2110メディア・プロセッサー」が発表されたことだ。なぜこの製品が生まれるに至ったのか、キム氏の基調講演から順を追って紹介しよう。

TVとPCが本当の意味で融合する技術とは?

上席副社長兼デジタルホーム事業本部長のエリック・キム氏

 キム氏は、「ブロードバンドが一般家庭にも広く普及し、動画ストリーミングが当たり前のものとなった。ここ中国でもブロードバンドを導入した家庭は2007年現在約1億7000万世帯あり、2011年には倍の約3億5250万世帯、動画ストリーミング回数は2005年には約250億回で2008年には1兆回に達する」と予測する。「いつでもどこでも好きなコンテンツを鑑賞できる手軽さが受けて、映画配給会社などのコンテンツホルダーから供給される動画コンテンツだけでなく、YouTubeなどプロ/アマを問わず日々膨大な量がインターネット上にアップロードされ、それらが高い人気を得ている」という。

 そういった動画ストリーミングサービスの実例として、Skype創業者が設立したP2P動画配信サービス「Joost」を取り上げ、その豊富なコンテンツとスムーズな再生品質により動画ストリーミングが十分実用的なサービスであることがアピールされた。また、インスタントメッセンジャーやニュースなどのウィジットが用意され、離れた場所にいる友人と同じ動画を見ながらテキストチャットを楽しむなどTVとはひと味違った魅力が紹介された。

エンターテイメント、映画、コメディ、音楽、スポーツ、ゲームなど豊富なジャンルのコンテンツが取りそろえられた「Joost」の番組選択画面

 これらのインターネット動画配信サービスが人気なのは、「TVにインターネットで提供されるのと同様の機能が求められているからだ」とキム氏は分析し、「2011年までには約1億台のTV、またはビデオ機器がネットワーク対応になるだろう」と予想した。これは、一家につき約1台のネットワーク対応マルチメディア機器が存在することを意味する。しかし、現在の家庭では、PCとTVはそれぞれ異なるものとしてとらえられていて、とくに若年層ではTVよりもPCの使用時間が長くなる現象が起きている。かといって、PCがTVを駆逐してしまうわけではなく、TVを見ながらPCも同時に利用するという利用スタイルが一般的になりつつある。このようなことが起きる理由は、TVとPCを本当の意味で統合する技術がいまだ存在しないことにある。

 ユーザーが求めているのは、「Control(制御のしやすさ)」「Choice(選択肢の豊富さ)」「Community(コミュニケーション機能)」「Clearity(わかりやすさ)」の「4C」とされる。これらを実現するには、ハードウェアの性能を向上させることも必要だが、ネットワーク接続機能やソフトウェアの改善が必要となる。

 消費者へのアピールは、最新ハードウェアを追求する「エンスージアスト」、市場の大多数を形成する「メインストリーム」、価格を抑えながらもある程度の性能を求める「ライフスタイル」、最低限の性能のみでよい「エントリー」の4つのセグメントを設定して行われる。

Viiv対応PCでデザインコンペ大賞を受賞した「LLUON」と次点の「asono MESIRO」

 エンスージアスト向けには2つのクアッドコアCPUと4本のPCI Expressスロットをサポートするデュアルソケット「Skulltraill(コード名)」、メインストリーム向けにはDDR3メモリやFSB 1333MHz、DirectX 10 Ready内蔵グラフィックス、IEEE802.11n無線LANをサポートしたSanta Rosaが2007年第2四半期に投入される。Santa Rosaでは、これまでは高価なパーツを必要とした3DゲームやHD動画鑑賞が基本システムのみでストレスなく実行できるのに加え、DLNA対応でPC内の動画をTVやほかのPCで手軽に見られるなど接続性のよさが強調された。また、モバイルPC向けにDLNAと同様の機能をソフトウェアで実現する「Intel Media Share Software」も紹介された。なお、ライフスタイル、エントリーセグメント向けには引き続きコストパフォーマンスに優れたCPUが「Celeron」ブランドで供給される。

 さらにPCを構成する重要な要素としてデザインも取り上げられた。その取り組みの一例として「Intel Core Processor Challenge」の結果発表を行った。IDF Fall 2006で告知されたIntel Core Processor Challengeは、Viiv対応PCのデザインを競うコンテストで、受賞作品は賞金・販売支援費を含めて総額100万ドルが授与されるという大がかりなプロジェクトだ。大賞を受賞したのは韓国・TriGem Computerがデザインしたスタンド型スピーカー風の「LLUON」、次点がノルウェー・Mesiroの真っ白なボディにラウンドコーナーデザインがインテリアを彷彿とさせる「asono MESIRO」。授賞式終了後に第2回Intel Core Processor Challengeの開催がアナウンスされた。結果発表はIDF Fall 2008にて行われる。

ハイエンド向け新アーキテクチャ「Skulltrail」(写真=左)。メインストリーム層にはSanta Rosaを中心にDLNAを組み合わせた製品が主力になる(写真=中央)。2007年第2四半期におけるコンシューマーのセグメント別製品(写真=右)

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