プラットフォームを「Intel Ultra Mobile Platform 2007」から「Centrino Atom」(開発コード名:Menlow)に切り替え、フルモデルチェンジを果たした富士通の新生「FMV-BIBLO LOOX U」が8月30日に発売される。店頭販売向けに「U/B50」の1モデルが用意されるほか、同社直販サイト「WEB MART」で購入できるモデルの「U/B50N」では、仕様のカスタマイズが可能だ。
インテルの新しい低消費電力・小型CPUであるAtomは、「Silverthorne」の開発コード名で知られるMID(Mobile Internet Device)向けのZ500番台と、「Diamondville」の開発コード名を持つ低価格ノート/デスクトップPC向けの200番台が用意されている。現在、ノートPC市場をにぎわせている「Eee PC 901-X」などの低価格ミニノートPC(いわゆるNetbook)に使用されているのは低コストを重視した後者だが、LOOX Uが採用したのは「WILLCOM D4」と同じ前者で、専用チップセットとの組み合わせにより、低消費電力化と小型化に注力しているのが特徴だ。
新型LOOX UはCPUにAtom Z530(1.6GHz)、チップセットに開発コード名PoulsboことIntel SCH(システム・コントローラ・ハブ)を採用し、IEEE802.11n(ドラフト2.0)の無線LAN機能、約5.3時間の連続駆動をうたうバッテリー、タッチパネル式の5.6型ワイド液晶ディスプレイを備えることで、Centrino Atomの要件を満たす。
その製品概要はニュース記事や動画での紹介記事を参照していただくとして、ここでは店頭向けモデルのU/B50を中心に、写真とともにLOOX Uを詳しく見ていこう。なお、今回入手した機材は試作機のため、実際の製品とは一部異なる場合がある。
液晶もキーボードも快適化:565グラムのAtom搭載UMPC「LOOX U」を動画で見る
富士通、Atom搭載「LOOX U」や地デジ付き「DESKPOWER F」など秋冬モデルを一挙発表
富士通のUMPCがAtom採用でフルモデルチェンジ――「FMV-BIBLO LOOX U」
Montevina SFF搭載で一歩先ゆくモバイルノート――「FMV-BIBLO LOOX R」
Web限定タブレットPCもMontevina SFFを採用――「FMV-BIBLO LOOX P」
大画面モバイルノートPCがDDR3メモリやVista Businessを採用――「FMV-BIBLO MG」
Centrino 2とカラバリで攻める主力ノート――「FMV-BIBLO NF」
大画面化しDDR3メモリや地デジチューナーを搭載したボードPC――「FMV-DESKPOWER F」
22型ワイドモデルにもBDを搭載してラインアップ拡充――「FMV-DESKPOWER LX」
低価格の液晶一体型FMVがCore 2 Duoを搭載――「FMV-DESKPOWER EK」
付属ディスプレイが22型ワイドに大型化――「FMV-DESKPOWER CE」
ダビング10に標準対応し利便性をアップしたリビングPC――「FMV-TEO」
タッチパネル式の液晶ディスプレイが回転・反転する構造のコンバーチブル型ボディは前モデルから継承され、本体サイズは標準バッテリー搭載時で171(幅)×135(奥行き)×26.5〜33(高さ)ミリとほぼ据え置き、重量は約565グラムと約34グラム減となった。軽くなった理由としては店頭モデルからワンセグチューナーが省かれたことも挙げられるため、本体サイズと重量はほとんど従来と同じといえるが、ボディのデザインは変更されている。
プラットフォームの刷新とともに大きく変わったのが、液晶ディスプレイとキーボードだ。Atomの搭載よりも、この2つの変更点がモデルチェンジのキモといっても差支えないだろう。まずは液晶ディスプレイだが、LEDバックライト付きの5.6型ワイドスーパーファイン液晶(光沢仕様)を採用する。サイズはそのままに、解像度を1024×600ドット(WSVGA)から1280×800ドット(WXGA)に高め、1画面に表示できる情報量が増えたのがポイントだ。Atom搭載Netbookより画面サイズは小さいが、高解像度を獲得している。
ただし、画面サイズ自体が5.6型ワイドと小さいため、高解像度化でドットピッチは0.0945ミリと非常に細かくなり、OSのメニューや小さな文字などは読みにくいが、両手でLOOX Uを抱えて操作したり、タブレット機能を利用するシーンでは、必然的にユーザーの目と画面との距離が近くなるため、「表示が細かくても意外に使える」という印象を受けた。
キーボードの改良は、特に前モデルで文字入力に苦労した経験のあるユーザーにとって朗報に違いない。5段配列の56キー構成から6段配列の68キー構成に大型化され、イチから設計し直したものになっている。前モデルではFnキーとほかのキーを同時に押すことで、Delete、Tab、ファンクションキー、カーソルキー、「−」(長音)などを入力する仕組みで、クセの強い操作感だったが、キー数の増加によって、これらのキーが独立して搭載されるようになったのはうれしい(ファンクションキーはF1〜F6キーまでが独立)。
Fnキーを押しながらの操作が減ったため、文字入力時のストレスはかなり軽減されたうえ、入力ミスを抑えるため、キーピッチの拡大や、キートップ形状の変更、全体的なキーレイアウトの見直しがなされているのも見逃せない。標準的なミニノートPC並みにキー入力がしやすいとまではいえないが、これなら前モデルのキーボードに不満を感じていたユーザーの多くが納得できるのではないだろうか。
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