ASUSTeK Computer(以下、ASUS)が9月19日に実施した「N10J」の発表会には、APAC_MEA セールスグループのケビン・ドゥ氏とビクター・チェン氏が登壇し、日本市場に対する期待を語った。
N10Jは、CPUにAtom N270(1.6GHz)、チップセットにIntel 945GSEを採用したモバイルノートPC。「Eee PC 901-X」よりも一回り大きな10.2型ワイド液晶ディスプレイ(1024×600ドット)を搭載し、GeForce 9300M GSとチップセット内蔵グラフィックスをスイッチで切り替えられるハイブリッドな仕様が特徴だ。
また、GPUのPureVideo HDをはじめ、本体左側面のHDMI出力やAltec Lansing Technologis製のネオジウムスピーカーを搭載しており、メディアコンテンツ再生との親和性も高い。さらに、ボディの幅を生かして18.5ミリピッチのキーボードを採用したほか、専用ボタンによって画面表示を3段階に切り替えられる「ASUS Zoom In」機能を用意するなど、ノートPCとしての使い勝手にも配慮している。
N10Jの主な仕様はこちらの記事で触れたとおりだが、N10Jにはソフトウェアの面でもユニークな機能が多い。その1つが「Express Gate」だ。これは独自のソフトウェアランチャーを約8秒で高速起動し、OSが起動していなくてもWebブラウズやSkype、フォトビューワ、音楽再生などを利用できるというもの。製品説明を担当したビクター・チェン氏は「(ASUSの製品は)ハードウェアだけでなくソフトウェアでも強みを持つ。Express Gateは現代の忙しい生活に最適なソリューションだ」と説明し、実際に高速起動する様子をデモで示した。
なお、同社は低価格ミニノート市場を切り開いた初代Eee PCをはじめ、次世代モデルの「Eee PC 901-X」や、その下位モデル「Eee PC 900-X」「Eee PC 701 SD-X」をリリースしているが、今回のN10JはこれらEee PCファミリーとはラインアップが異なる。ケビン・ドゥ氏は、「N10Jはこれまで投入したノートPCとEee PCのあいだを埋める製品。高いグラフィックス性能などによってメディアコンテンツを楽しんだり、ビジネスにも利用できるノートPCだ。インターネットをもっと活用するために携帯性を重視したEee PCとはコンセプトを分けている」と述べ、N10JがEee PCの上位モデルではないと説明した。実際、N10Jの天板には「Eeeロゴ」ではなく、「ASUSロゴ」が使用される。
ケビン・ドゥ氏は、2006年に投入した革張りノートPC「SF6」やランボルギーニPCこと「VX1」で日本のノートPC市場に本格参入を果たしてから「この3年間でASUSブランドが浸透したと感じている」と振り返る。もっとも、ノートPC分野における同社の知名度を引き上げたのはやはりEee PCによるところが大きい。同氏は「現状ではEee PCが(同社の持つノートPC市場シェアの)90%を占め、残りを従来のノートPCで分けている状態だが、今回のN10JによってEee PCが70%、ほかのノートPCで30%の比率になるだろう」と述べ、「初期出荷の供給量については未定だが、日本は最も重要な市場の1つと考えている。最大限努力していく」と意気込みを語った。
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