普通に使えるAtomがいい:元麻布春男のWatchTower(1/2 ページ)

» 2008年09月04日 17時00分 公開
[元麻布春男,ITmedia]

小さくて安いがゆえの制約

 2008年夏のヒット商品の1つがミニノートPCであることに異論のあるユーザーはいないだろう。その主流となっているのは、インテルのAtomを搭載した製品で、インテルはそのようなモデルをNetbookと呼ぶ。本来は新興国向けの安価なノートPCを目指した製品だったが、コスト削減のために小型の液晶ディスプレイを採用した結果、ノートPCとしても小さくて比較的軽量に仕上がった。それが持ち運びの容易なセカンドPCとして、先進国でも多くのユーザーに受け入れられたようだ。

 こういう経緯があったため、Atomの登場と合わせてリリースされたミニノートPCの多くは7型級の小型液晶ディスプレイを採用していた。これらはカーナビゲーションシステム機器などで使われていたパネルで、数量が出る関係もあって安価に調達できる。上述のように小型のディスプレイは、システムとしての小型化や軽量化にも寄与する。

 その一方で、小型のディスプレイを搭載したために、ミニノートPCは、画面がせまくキーボードも使いにくい。解像度が同じでディスプレイサイズが小さくなれば、それだけ表示される文字の見かけ上のサイズは小さくなる。ディスプレイサイズに合わせて設計すれば、当然のことながらボディの幅も短くなり、キーボードも小型にせざるを得ない。どうしても使い勝手の点で不満が生じる。小型化と使い勝手のバランスをどこでとるかは非常に難しいところだ。

普通のサイズで普通の使い勝手を提供するMSI

普通のノートPCに近い操作性を提供してくれる「Wind Netbook U100」

 MSIのWind Netbook U100は、このクラスのミニノートPCとしては最大の10.2型液晶ディスプレイを採用する。解像度は、多くの8.9型液晶ディスプレイ搭載モデルと同じ1024×600ドットだが、ディスプレイサイズが大きいので文字も大きく読みやすい。白色LEDのバックライトと合わせて、ディスプレイが見やすいのは間違いない。

 大きなディスプレイサイズはボディが大きくなることも意味する。Wind Netbook U100のサイズは260(幅)×180(奥行き)×19〜31.5(厚さ)ミリと、8.9型液晶ディスプレイ搭載モデルよりひと回り大きい。が、重量は1.1キロ強で、飛びぬけて重いわけではない。

 ボディが大きくなったことで、キーボードには余裕が生じた。17.5ミリのキーピッチは、通常のノートPCが搭載するサイズの92%に相当する。ホームポジションに手を置いたとき、ミニノートPCの多くで親指がスペースバーではなくパッドの上に来てしまい、タイピングしづらい、という経験をするが、Wind Netbook U100のキーボードは奥行き方向にも余裕があるため、通常のノートPCとほぼ同じ感覚でタイピング可能だ。

 CPUをはじめとする内部構成のスペックは、Netbookとして標準的なものだ。1.6GHz動作のAtom N270とIntel 945GSEチップセット、そのチップセットに統合されたグラフィックスコア(Intel GMA 950)、2.4GHz帯のみサポートする無線LANなど、特に珍しいものはない。

 メモリの標準容量はオンボードの1Gバイト(DDR2-667)になる。これに加えてマザーボードにはSO-DIMMスロットが1つ設けられているものの、標準で利用されていない。おそらくマイクロソフトがWindows XP Home Editionを特別提供する条件として規定するULCPC(Ultra Low Cost PC)の制約からくるスペックだと思うのだが、なぜかMSIサポート窓口に送り返すか、あるいは購入した販売店で2Gバイトに増設できる(1万500円)。ULCPCの規定的にはどうなのかと思うが、ユーザーとしてはオプションが増えるわけで喜ばしい。なお、MSIサポート窓口へ返送する場合、1万2600円でBluetoothの増設とメモリ増設の両方を行える。

違いが分かるユーザーのためのNetbook

「デルのミニノートPC」として、登場当初は注目を集めた「Latitude X1」

 冒頭で述べた生い立ちでも明らかなように、Netbookは決して高性能を目指したものではない。実際、インテルは、搭載するAtomの性能について、同世代のCeleronとオーバーラップしないと述べている(Atomの性能はCelronより下ということ)。それでもNetbookが注目されるのは、用途によってはそれでも十分な性能だと割り切れるユーザーが多数存在するからだ。

 現世代での比較はそのとおりだとしても、既存のPC、ユーザーの手元にあるPC、あるいは中古で入手できるPCと比べた場合、Netbookの性能はどの程度なのだろう。そこで、筆者の手元にあったデルのLatitude X1とWind Netbook U100の性能を比較してみることにした。

 Latitude X1の詳細スペックについてはこちらの記事を参照してほしいが、2005年の3月に発表されたモバイルPCで、CPUに超低電圧版のDothan世代Pentium Mを採用する。チップセットの世代もWind Notebook U100が搭載するIntel 945GSEより古く、それがメモリのスペックや内蔵グラフィックスにも表れている。また、HDDが1.8インチタイプであることも、2.5インチのSerial ATAドライブを採用するWind Netbook U100に比べて不利になる。とはいえ、Latitude X1と同じ世代のモバイルPCの多くは1.8インチドライブを採用していた。

Wind Netbook U100 Latitude X1
発表日 2008年6月 2005年3月
CPU Atom N270(1.6GHz) (Diamondville) ULV Pentium M 733(1.1GHz) (Dothan)
メモリ容量(オンボード) 1024MB DDR2-667 256MB DDR2-400
メモリスロット 1(空き) 1(1024MB DIMM実装済み)
HDD 80GB WD800BEVS (2.5インチ SATA) 80GB 東芝 MK8007GAH (1.8インチ PATA)
Graphics Intel GMA 950 (Intel 945GSE) Intel GMA 900 (Intel 915GMS)
ディスプレイ(解像度) 10.2型ワイド(1024×600ドット) 12.1型ワイド(1280×768ドット)
無線LAN 802.11 b/g 802.11 b/g
Bluetooth オプション(2.0 + EDR) 標準搭載(1.2)
スロット 3 in 1(SD/MMC/MemoryStick) SD×1 + CF×1
OS Windows XP Home Edition(SP3) Windows XP Professional (SP2)
重量 1117グラム(実測値) 1168グラム (実測値)

 一方で、Latitude X1のディスプレイは12.1型(最大解像度は1280×768ドット)でWind Netbook U100よりさらに大きく、キーボードにも余裕があるが、ボディもそれに伴なって大きくなる。ただし、重量的にはほぼ同じで、Latitude X1のほうが少し薄い。登場した時期には3年以上の開きがあるが、ビジネス向けのLatitudeシリーズとして1年以上継続して販売されていたので、製品のライフサイクルとしては2年弱ほどのギャップになる。

こうして重ねてみると、そのサイズの差ははっきりと分かる
12.1型ワイドのディスプレイを搭載したおかげで余裕のあるLatitude X1のキーボード
Wind Netbook U100も、Netbookとしてはキーピッチを確保できている

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