デルのLatitude X1はそのブランド名が示すようにビジネス市場をターゲットにした製品。デルのノートPCとしては最軽量となる1.14キロと、常時携帯利用を可能にした競合他社の最軽量ノートと同じレベルに達した。
筐体のサイズは幅286×奥行き196.8ミリ×厚さ25ミリ。ビジネス利用を意識したLatitudeシリーズながら、12.1インチのワイド液晶ディスプレイを搭載しているので、やや横長のサイズとなっている。これは、同じ携帯利用を重視した1キロ級ノートPC「dynabook SS SX/190」の幅286.0×奥行き229.0×厚さ9.9〜19.8ミリと比べると、(厚さはともかくとして)幅はほぼ同じ、そして奥行きが少なくなった分、Latitude X1の小ささは際立って見える。
「4:3のディスプレイを使ったら、もっと小型化できたはずなのに」という意見もあるだろう。しかし、ビジネス利用を意識したラインアップといえど、画面の面積と解像度が大きければ何かと便利なのは間違いない。
仮に、4:3のディスプレイを搭載するとなると、12.1インチを載せて筐体を大きくするか、10.4インチを載せて細かいフォントで我慢するか、というトレードオフで悩むことになる。ワイドサイズの12.1インチというのは、これらのトレードオフのバランスが程よく取れている、ともいえるのではないだろうか。
また、ワイド液晶ディスプレイを搭載したために筐体の幅は大きくなるものの、そのおかげでキーボードピッチが十分確保されたことなど、使い勝手を考えればかえってよかったのではないだろうか。
蛇足ながら、筆者のような、太め(体重80キロ)の成人男子がひざの上でノートPCを使うとき、この幅280ミリと言うのは、ちょうど楽な姿勢でPCをおけるサイズであったりする。これより小さい、たとえば10.4インチ液晶ディスプレイを搭載したLet's note R4の「幅229×奥行183.5×厚さ24.2〜41.6ミリ」では、ひざをギュッっとつけていなければならないのだが、この姿勢はけっこうストレスが溜まるのだ。
以前は「ビジネス用途の無骨なデザイン」というイメージが強かったデルのノートPCも、最近ではシルバーカラーを積極的に取り入れた見た目にもスマートな製品が増えてきた。それでも、レビューで「筐体の作りの甘さ」が指摘されるなど、携帯重視ノートで求められる「筐体強度」が今ひとつ不足している感がある。
Latitude X1は、高い信頼性を求められるビジネス市場向けのノート、というだけでなく、軽さを生かした携帯利用にも耐えうる強度がより一層求められるわけだが、そのあたり「筐体の作り」はどうだろうか。
強度のコメントをする前に、まずは、筐体に用意されたインタフェースの仕様、キーボードの感触などについて述べておきたい。Latitude X1の筐体にはUSB 2.0×2、IEEE 1394、LAN、モデム、そしてVGAを用意。無線を使ったネットワークもBTOオプションのIEEE 802.11 b/gだけでなく、標準で組み込まれるBluetooth v2+EDRもサポートするなど充実している。
カードスロットは国産ノートPCが依然としてTypeII準拠のPCカードを搭載する製品が多いのに対し、CFカードとSDカードのスロットを1つずつだけという、必要なものだけを選んだ構成。USBのコネクタは両側面に配置するなど、使い勝手もよく考えられている。また、液晶パネルを搭載する天板もラッチレスの導入によって取り出したら片手で開けられるようになっている。
コストを優先したノートPCでは、キートップが揺らいだりと、キーボードの作りに弱さを感じることが多々あるが、Latitude X1にはそのような「キーのぐらつき」はほとんどない。ただし、打鍵される機会の多いスペースキーの反発力が、ほかのキーと比べてはっきりと弱く感じられたので、耐久性という側面では不安があるかもしれない。
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